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2025年10月から放送中の『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』では、ついにデクと死柄木弔の最終決戦が描かれています。この激闘を深く理解するために欠かせないのが、死柄木弔の壮絶な過去です。本名・志村転弧として生まれた彼は、なぜ史上最悪のヴィランになったのか。5歳の時に起きた家族全員の崩壊、AFOとの出会い、そして身につける「手」の真実──。この記事では、死柄木の過去を時系列で徹底解説し、AFOによる計画の全貌、アニメ・漫画の該当話数まで詳しくご紹介します。最終決戦をより深く味わうために、今こそ死柄木弔という存在の真実を知りましょう。
死柄木弔とは?

『僕のヒーローアカデミア』の物語を通して、デクたちの前に立ちはだかり続けた最凶のヴィラン・死柄木弔。彼はただの敵ではなく、作品のテーマを体現する重要な存在です。ここでは死柄木弔の基本情報と、彼がなぜヒーロー社会の破壊を目論むようになったのかを紐解いていきます。
本名は志村転弧
死柄木弔の本名は志村転弧(しむら てんこ)。初登場時の年齢は20歳で、誕生日は4月4日です。彼の「志村」という姓には衝撃的な意味があります。実は彼の父方の祖母こそが、ワン・フォー・オール(OFA)七代目継承者であり、オールマイトの師匠でもある志村菜奈なのです。
オールマイトがこの事実を知ったのは物語の中盤。自分が守り育てようとした平和の象徴という存在が、恩師の孫を最悪のヴィランに変えてしまった──この真実は、オールマイトに深い衝撃と自責の念を与えました。平和の象徴と恐怖の象徴が、実は師弟を通じて繋がっていたという皮肉な運命が、ヒロアカという物語の悲劇性を象徴しています。
個性「崩壊」の恐るべき能力と異能解放軍戦での覚醒
死柄木の個性「崩壊」は、五指で触れたあらゆるものを崩壊させる恐るべき能力です。触れられた対象は瞬く間に粉々に崩れ去り、生物であろうと無機物であろうと関係なく破壊されます。発動には五本の指全てで触れる必要があるため、通常時は小指を浮かせて行動していました。
しかし、異能解放軍との死闘の中で死柄木の個性は覚醒します。五指で触れる必要がなくなり、たった一本の指で触れただけでも崩壊の力が発動。さらに恐ろしいことに、触れていない物にまで崩壊が波紋のように伝播していく能力へと進化しました。この覚醒により、死柄木は一瞬で街を崩壊させる力を手に入れ、文字通り「史上最悪のヴィラン」となったのです。
個性覚醒のきっかけは、過去の記憶を取り戻したこと。家族の手が破壊され、封じ込めていた記憶が蘇った瞬間、死柄木の破壊衝動は完全に解放されました。
ヒーローへの憎悪の原点とデクとの因縁
死柄木のヒーローへの憎悪は、単なる敵対心ではありません。それは5歳の時に誰一人として手を差し伸べてくれなかった絶望から生まれた、ヒーロー社会そのものへの復讐心です。USJ襲撃、林間合宿襲撃、爆豪勝己の誘拐未遂など、死柄木は何度もヒーロー社会に挑戦し続けました。
特にデクとの因縁は深く、物語を通して二人は何度も対峙します。無個性として生まれながらオールマイトに救われたデクと、家族を失いながら誰にも救われなかった転弧──この対比こそが、ヒロアカという物語の核心です。もしあの時、誰かが転弧に手を差し伸べていたら。もしデクが救われなかったら。二人の運命は簡単に入れ替わっていたかもしれません。
最終決戦では、デクは死柄木を「救う」ために全力で拳を振るいます。それは単なる打倒ではなく、かつて救われなかった少年・志村転弧を救済しようとする戦いなのです。
死柄木弔の過去:志村転弧の5歳の悲劇

ヴィランとなる前の志村転弧は、どんな子供だったのでしょうか。実は彼は心優しく、ヒーローに憧れる普通の5歳児でした。しかし、家庭環境の歪みと抑圧が、転弧の心を少しずつ蝕んでいきます。ここでは転弧が暮らしていた志村家の実態と、彼が抱えていた苦悩を詳しく見ていきましょう。
ヒーローに憧れた心優しい少年だった志村転弧
5歳の志村転弧は、友達とヒーローごっこをして遊ぶのが大好きな、ごく普通の男の子でした。無個性であることに引け目を感じながらも、「いつか個性が出るかも」という希望を持ち、オールマイトのようなヒーローになる夢を抱いていました。性格は優しく、妹想いで、家族を愛していた心根の素直な子供だったのです。
しかし、5歳になっても個性が発現しない転弧に対し、父・弧太朗は厳しい態度を取り続けました。弧太朗は決して転弧を憎んでいたわけではありません。むしろ、無個性の転弧が将来苦労しないように、早めにヒーローへの夢を諦めさせようとしていたのです。不器用な父親なりの愛情表現でしたが、それは転弧の心に深い傷を残すことになります。
父・弧太朗のヒーロー嫌いと「ヒーローの話は禁止」のルール
志村家は六人家族でした。実業家の父・弧太朗、母・直、姉・華、母方の祖父・千津夫と祖母・真子、そして転弧。さらに飼い犬のモンちゃんもいる、経済的には裕福な家庭です。しかし、この家には絶対的なルールがありました──「ヒーローの話をしてはいけない」というルールです。
弧太朗がヒーローを嫌う理由は、彼自身の生い立ちにありました。弧太朗の実母こそが、OFA七代目継承者・志村菜奈です。幼い弧太朗は、AFOの魔の手から守るために里子に出されました。ヒーローとして多くの人を救った志村菜奈でしたが、その代償として我が子を手放さなければならなかった。弧太朗にとって実母は「他人を助けるために家族を捨てた鬼畜」であり、ヒーローという存在そのものが憎悪の対象だったのです。
この家のルールは転弧を苦しめました。友達はヒーローの話で盛り上がるのに、家では一切触れてはいけない。この矛盾が、転弧の心に少しずつストレスを蓄積させていきました。
祖母・志村菜奈の写真発見と姉・華の裏切り
ある日、姉の華が転弧を父の書斎へと誘いました。そこには祖母・志村菜奈がヒーローとして活躍する写真が隠されていたのです。転弧は目を輝かせました。「僕の身内にヒーローがいた!」──その事実は、転弧にとって何よりも嬉しい発見でした。ヒーローへの憧れが否定されない証拠。自分もヒーローになれるかもしれないという希望の光でした。
しかし、喜びは一瞬で絶望に変わります。華は転弧を書斎に誘いながら、その事実を父に密告したのです。「転弧が勝手に入った」と責任を転弧になすりつけ、自分だけは父の怒りから逃れようとしました。弧太朗は激怒し、転弧を容赦なく折檻します。
「あれはおばあちゃんじゃない、子供を捨てた鬼畜だ」「いいか、ヒーローというのはな…他人を助けるために家族を傷つけるんだ」
父の言葉とビンタ。助けてくれない家族。転弧は深い孤独と絶望に沈んでいきました。
家庭内のストレスと原因不明の痒み
転弧は日常的に原因不明の痒みに苦しんでいました。アレルギーではないのに、顔や首、体中が痒くなる。皮膚は荒れ、湿気の多い日は特にひどくなります。しかし、この痒みの正体は身体的な問題ではありませんでした。
実は、この痒みは溢れ出る破壊衝動が身体に現れたサインだったのです。家庭内の抑圧、無個性への劣等感、ヒーロー願望の否定、父の折檻、家族の無関心──蓄積されたストレスが、転弧の心の奥底で破壊衝動という形で膨れ上がっていました。しかし幼い転弧はそれを理解できず、ただ我慢するしかなかったのです。
この痒みが止まるのは、転弧が家族を崩壊させた後でした。破壊衝動が解放された瞬間、長年苦しんだ痒みは嘘のように消えました。その事実こそが、この痒みの正体を物語っています。
個性「崩壊」の突然の発現

志村家で起きた悲劇は、ある晩から始まりました。祖母の写真を見つけた日、父に叱られた転弧は、夜になっても庭で一人泣いていました。家族は誰も助けに来てくれません。孤独と絶望の中、転弧の個性は突如として発現します。それは、彼の人生を決定的に変える瞬間でした。
飼い犬モンちゃんの死が悲劇の始まりだった
父に叩かれ、庭で泣き続ける転弧。彼の唯一の慰めは、飼い犬のモンちゃんでした。転弧はモンちゃんを抱きしめながら、涙を流し続けます。家族への拒絶感、ヒーロー願望を否定された悲しみ、誰も助けてくれない孤独──すべての負の感情が渦巻いていました。
その時でした。転弧がモンちゃんの首元に触れた瞬間、個性「崩壊」が発動したのです。
モンちゃんの身体が一瞬で血肉へと変わりました。骨も皮膚も内臓も、すべてが粉々に崩れ去り、転弧の腕の中には血と肉片だけが残りました。何が起きたのか理解できない転弧は、呆然とモンちゃんの残骸を見つめるしかありませんでした。最初の「崩壊」の犠牲者は、転弧が最も愛していた存在だったのです。
姉・華を崩壊させ、母・直と祖父母も次々と
モンちゃんの悲鳴を聞いた華が、謝罪するために庭に出てきました。しかし、彼女が目にしたのは血まみれの転弧と、無残な姿になったモンちゃんの死骸。華は絶叫し、恐怖のあまり逃げ出そうとします。
「待って華ちゃん!違うの!これは僕じゃ──」
転弧は必死に説明しようとしますが、過呼吸のような症状で声が出ません。逃げる姉を引き止めようと、転弧は華の腕を掴みました。その瞬間、華の身体が崩壊し始めます。姉は転弧の目の前で粉々に崩れ去り、血と肉片に変わってしまいました。
騒ぎを聞きつけた母・直、祖父・千津夫、祖母・真子が庭に飛び出してきます。転弧は助けを求めるように、地面を這いながら家族に近づこうとしました。しかし、転弧が触れた地面に亀裂が走り、個性の伝播が始まります。崩壊の波は祖父母の足元まで到達し、二人は地面ごと崩れ落ちていきました。
母だけは違いました。直は恐怖に怯えながらも、転弧を抱きしめるために駆け寄ります。「大丈夫よ転弧!」──しかし母の腕が転弧に触れた瞬間、彼女の身体も崩壊し始めました。母は転弧を抱きしめる直前に崩れ去り、わずかな距離で抱擁は叶いませんでした。
父・弧太朗への明確な殺意
一旦、個性の暴走が治まりました。転弧は血と肉片に囲まれ、絶望に打ちひしがれています。そこへ遅れて弧太朗が庭に出てきました。崩壊した庭、広がる血肉、そして蹲る転弧。弧太朗は現状を理解し、深い絶望に襲われます。
「転弧…お前が…」
転弧は助けを求めるように、父に手を伸ばしました。しかし再び個性が暴走し、庭の崩壊が始まります。弧太朗の手元にたまたま高枝切りばさみが転がってきました。そして次の瞬間、弧太朗はそれで転弧の頭を殴打したのです。
意図的だったのか、助けようとしたのかは分かりません。しかし殴られた瞬間、転弧の中で何かが変わりました。明確な殺意が芽生えたのです。
「死ねェ!」
転弧は叫びながら父の顔に手を伸ばします。その手が触れた瞬間、弧太朗の身体は崩壊し始めました。父は「やめろ転弧!」と叫びながら粉々に崩れ去っていきます。転弧は初めて、自分の意志で誰かを殺害したのです。
「みんな嫌いだ」と願った瞬間に解放された破壊衝動
家族が崩れていく瞬間、転弧は心のどこかで「軽さ」を感じていました。後に死柄木はこう独白しています──自分は心のどこかで、この顛末を望んでいたのかもしれない、と。
「みんな嫌いだ」
転弧が心の中でそう願った瞬間、抑圧されていた破壊衝動が完全に解放されました。長年苦しんでいた痒みが嘘のように消え去ります。罪悪感と同時に、途方もない快感が全身を貫きました。
これが志村転弧の個性発現の瞬間であり、死柄木弔が生まれる原点でもありました。家族全員を失い、自らの手で殺害した5歳の少年。この悲劇は、決して彼一人の責任ではありませんでした。しかし転弧は、すべてを自分の罪だと思い込んでしまうのです。
誰も助けに来なかった──家族を失った転弧の絶望

家族全員を失った転弧は、血まみれのまま家を飛び出しました。彼の心の中では「助けて」という叫びが響き続けていました。しかし、ヒーローが溢れているはずの社会で、誰一人として5歳の転弧に手を差し伸べる者はいなかったのです。この経験が、転弧をヴィランへと決定的に導いていきます。
血まみれで街を彷徨う転弧を見て見ぬふりをした人々
転弧は異様な姿で街中を彷徨い歩きました。顔には返り血が付き、服はボロボロ、目は虚ろで今にも倒れそうな状態です。人口密度の高い街では、多くの人が転弧とすれ違いました。しかし、誰一人として声をかける人はいませんでした。
皆、転弧の姿を見て目を逸らし、足早に立ち去っていきます。異様な形相の子供を見て、関わりたくないと本能的に感じたのでしょう。一人だけ、おばあさんが心配して声をかけてくれました。しかし転弧が顔を上げた瞬間、その表情を見たおばあさんは絶句し、「警察かヒーローがすぐ来るわ」とだけ告げてよそよそしく立ち去ってしまいました。
ヒーロー社会が見捨てた5歳の子供の叫び
転弧の心の中では、ずっと助けを求める叫びが響いていました。「誰か助けて」「これは僕のせいじゃない」「僕はどうしたらいいの」──しかし、その叫びは誰にも届きませんでした。
皮肉なことに、この社会にはヒーローが溢れています。事故や災害、犯罪が起きればすぐにヒーローが駆けつける、そんな社会のはずでした。しかし、血まみれで彷徨う5歳の子供の下には、誰一人としてヒーローは来なかったのです。
転弧はこう考えました──これは家族を殺した罰が当たったのだ、と。自分は助けられるはずがない、救われる資格がないのだ、と。この思い込みが、転弧の心をさらに深い闇へと沈めていきました。
「あの時誰かが手を差し伸べてくれたら」──転弧の後悔
異能解放軍との戦いで過去の記憶を取り戻した死柄木は、こう独白しています。
「あの時、もし誰かが手を差し伸べてくれたら──この痒みは治まっていただろうか」
もし誰かが「大丈夫だよ」と声をかけてくれたら。もし誰かが転弧を抱きしめて「怖かったね」と言ってくれたら。もしヒーローが駆けつけて「君は悪くない」と救ってくれたら。転弧の人生は全く違うものになっていたかもしれません。
この問いかけは、ヒロアカという作品が投げかける最も重要なテーマの一つです。ヒーロー社会は本当に人々を救えているのか。溢れかえるヒーローたちは、本当に必要な人に手を差し伸べているのか。志村転弧という存在は、ヒーロー社会の闇と限界を象徴しているのです。
オールフォーワン(AFO)との運命的な出会い
行く宛もなく彷徨い続けた転弧は、ついに力尽きて高架下に倒れ込みました。浮浪者のように身を潜め、誰にも助けられることなく、ただ絶望の中で時間だけが過ぎていきます。
そこに現れたのが、AFOでした。
「大丈夫かい?」
AFOは転弧に優しく手を差し伸べました。誰も助けてくれなかった転弧に、初めて手を差し伸べた存在。この出会いが、志村転弧の運命を完全に決定づけます。
後に明らかになりますが、この出会いは偶然ではありませんでした。全てはAFOが仕組んだシナリオだったのです。しかし転弧にとって、AFOは自分を救ってくれた唯一の存在でした。だからこそ転弧は、AFOの後継者として育てられることを受け入れ、死柄木弔という存在へと変貌していくのです。
死柄木弔の誕生:AFOによる洗脳と育成

転弧を保護したAFOは、氏子達磨(ドクター)と共に転弧のメンタルケアを開始しました。しかしそれは本当の意味での「ケア」ではありませんでした。AFOの目的は、転弧を自分の後継者として育成すること。そのために、巧妙な心理操作と洗脳が施されていったのです。
家族の手を装着させた恐るべき心理操作
AFOが転弧に最初に与えたのは、崩壊させた家族の「手」でした。AFOは志村家の廃墟から家族の手を回収し、丁寧に保存していたのです。そして転弧にこう告げました。
「怒りや悲しみといった負の感情が風化しないように、肌身離さず持ち続けるといい」
一見すると、これはトラウマと向き合うための方法に聞こえます。しかし実際の狙いは真逆でした。AFOの真の目的は、転弧を不安定な精神状態に保ち続けることだったのです。
家族の手を常に装着することで、転弧の罪悪感と憎悪は風化せず、むしろ増幅されていきます。しかも記憶の大部分は消去されているため、転弧は「なぜこの感情があるのか」を理解できないまま、ただ負の感情だけが心を支配し続けました。これがAFOの恐るべき心理操作の本質です。
「死柄木弔」という名前に込められた意味
AFOは転弧に新しい名前を与えました──「死柄木弔(しがらきとむら)」という名前です。
「弔」という字には、死を悲しみ別れを告げるという意味があります。そして「死柄木」はAFOの苗字です。つまりこの名前は、「弔いを招く存在」として転弧を定義したものでした。志村転弧という本名を奪われ、死柄木弔という新しいアイデンティティを与えられることで、転弧は完全に過去から切り離されたのです。
名前とは、その人の存在そのものを表すものです。本名を失い、「死」と「弔い」という文字で構成された名を与えられた転弧は、もはや普通の人生を歩むことができなくなりました。AFOは名前という形で、転弧の運命を完全に支配したのです。
破壊衝動を肯定され、チンピラ2名を殺害した転弧
AFOとドクターは転弧に、破壊衝動を我慢する必要はないと教えました。「心のままに動けばいい」「痒みは破壊衝動が溢れている体への信号」──こうした言葉によって、転弧は自分の破壊衝動を肯定的に捉えるようになっていきます。
そして転弧は、浮浪中に自分を殴った男二人を意図的に殺害しました。これが死柄木弔としての最初の殺人です。家族の殺害は事故でしたが、この二人の殺害は明確な殺意を持った行為でした。
AFOはこの二人の手も回収し、門出を祝福する記念品として転弧に贈りました。こうして転弧は、家族の手6名分(飼い犬含む)と男二人の手、合計14本の手を身につけることになります(後に父の手を一つ壊してしまったため、AFOは補填として追加の手をプレゼントしています)。
破壊を貪る恐怖の象徴として大いなる一歩を踏み出した転弧は、こうして完全に「死柄木弔」へと生まれ変わったのです。
死柄木が身につける「手」の正体と配置

死柄木弔のビジュアルで最も印象的なのが、全身に装着された「手」です。初めて見た人は不気味さを感じたでしょう。しかしこの手には、死柄木の過去と苦悩のすべてが詰まっています。ここでは手の正体と配置、そしてAFOの真の狙いを詳しく解説します。
顔は父、首は母、腕は祖父母、手首は姉──14本の手の意味
死柄木が装着している手は、全部で14本あります。その内訳は以下の通りです。
- 顔(最も大きな手):父・志村弧太朗の手
- 首2本:母・志村直の両手
- 上腕部2本:祖父・千津夫の両手
- 腕2本:祖母・真子の両手
- 手首2本:姉・華の両手
- 両肩・両脇4本:最初に殺害したチンピラ2名の両手
- 後頭部1本:父の手の補填(転弧が壊してしまった分)
最も目立つ顔に装着されているのが父の手というのは象徴的です。転弧が明確な殺意を持って殺害したのは父でした。そして父こそが、転弧のヒーロー願望を最も強く否定した存在です。父の手を顔に装着することで、死柄木は常に父の存在を意識し続けることになります。
母の手は首に、抱きしめようとしてくれた母の最後の優しさを、死柄木は首に纏うことで忘れないようにしています。姉の手は手首に、裏切られた痛みを手の動きのたびに思い出します。祖父母の手は腕に、巻き込んでしまった罪悪感を常に感じ続けます。
そしてチンピラ2名の手は、死柄木弔として最初の一歩を踏み出した証です。これらの手すべてが、死柄木の精神を縛り続ける呪いとなっていました。
負の感情を風化させないためのAFOの狙い
AFOが家族の手を装着させた真の目的は、転弧を永遠に不安定な状態に保つことでした。手を常に身につけることで、転弧は罪悪感と憎悪から逃れることができません。しかも記憶の大部分は封じられているため、感情だけが浮遊している状態が続きます。
この状態こそが、AFOの望んだものでした。不安定で、憎悪に満ち、破壊衝動を抑えられない状態。そうすることで、転弧はヒーロー社会への憎悪を増幅させ続け、AFOの理想とする「恐怖の象徴」へと育っていきます。
手は物理的な重さだけでなく、精神的な重荷でもありました。死柄木にとって手は、自分が何者であるかを示すアイデンティティであり、同時に永遠に逃れられない呪縛だったのです。
異能解放軍戦で手が破壊され過去の記憶が蘇る
死柄木の転機となったのは、異能解放軍のリーダー・リ・デストロとの激闘でした。この戦いの中で、死柄木が最も大切にしていた顔の手(父の手)が破壊されてしまいます。さらに戦闘の激しさの中で、他の手も次々と破壊されていきました。
手が破壊された瞬間、死柄木の中で封印されていた記憶が蘇り始めます。5歳の時の出来事、家族を崩壊させた瞬間、誰も助けてくれなかった絶望──すべてを思い出した死柄木は、手という呪縛から解放されました。
そして同時に、個性「崩壊」が覚醒します。もはや五指で触れる必要はなく、触れていないものにまで崩壊が伝播する力を手に入れたのです。手から解放されたことで、死柄木は真の意味で「完全な死柄木弔」となりました。
皮肉なことに、AFOが用意した呪縛である「手」が破壊されたことで、死柄木はAFOの想定を超える存在へと覚醒したのです。この瞬間から、死柄木弔の物語は新たな局面を迎えることになります。
全てはAFOの計画だった──死柄木弔の過去に隠された真実

死柄木弔の過去は悲劇的でした。しかし最も衝撃的な事実は、その悲劇のすべてが偶然ではなく、AFOによって意図的に仕組まれたものだったということです。ここではAFOの恐るべき計画の全貌を明らかにし、死柄木弔という存在がどのようにして作り上げられたのかを解説します。
個性「崩壊」は元々転弧のものではなくAFOが与えた複製品
最も衝撃的な真実──それは、死柄木の個性「崩壊」が元々転弧のものではなかったということです。この個性は、ドクター(氏子達磨)の施設にあった粗悪な複製品でした。
本来の「崩壊」には可逆性があったとされていますが、AFOが転弧に与えた個性はその機能を取り払った劣化版です。つまり、一度崩壊させたものは二度と元に戻らない、破滅にのみ突き進む個性だったのです。
AFOは転弧が5歳になった頃、気づかれないように手を繋ぐ形でこの個性を譲渡しました。家族を崩壊させたのは転弧の意志ではありません。AFOが意図的に与えた個性によって引き起こされた悲劇だったのです。転弧は自分の個性で家族を殺したと思い込んでいましたが、実際はAFOに与えられた個性で殺してしまったのです。
個性発現前に個性を奪い、無個性の劣等感を植え付けた
さらに恐るべき事実があります。転弧は元々、別の個性を持って生まれていた可能性が高いのです。しかしAFOは、転弧の個性が発現する前にその個性因子を奪い取っていました。
なぜそんなことをしたのか。それは、転弧に無個性としての劣等感を植え付けるためでした。無個性であることの苦しみ、周囲との差を感じる孤独、ヒーローへの憧憬──これらすべてが、AFOの計画に必要な要素だったのです。
無個性として育った転弧は、ヒーローに強く憧れます。しかし父によってその願いは否定され続けました。抑圧され、追い詰められた状態で「崩壊」の個性を発現させる。この一連の流れすべてが、AFOによって綿密に計算されていたのです。
転弧が本来持っていたはずの個性が何だったのかは明かされていません。しかし、もし本来の個性が発現していたら、転弧の人生は全く違うものになっていたでしょう。AFOはその可能性すら奪い取ったのです。
志村転弧が選ばれた理由は志村菜奈への復讐
なぜAFOは数多くの子供の中から志村転弧を選んだのか。その理由は、転弧の祖母が志村菜奈だったからです。
志村菜奈はOFA七代目継承者であり、AFOと激しく戦ったヒーローでした。AFOにとって志村菜奈は、自身の野望を阻む邪魔な存在でした。だからこそAFOは、志村家に目をつけたのです。
AFOは志村弧太朗の家族を観察し続けました。長女の華は育ちすぎていたため不適格と判断し、二人目の子供である転弧を標的に選びます。志村菜奈の孫を最悪のヴィランに育て上げる。これこそがAFOの復讐であり、OFAへの執着の表れだったのです。
志村菜奈は家族を守るために弧太朗を里子に出しました。しかしその選択が、巡り巡って孫の転弧を破滅させることになってしまいました。AFOの執念深さと計画性の恐ろしさが、ここに現れています。
オールマイトの意志を砕くための「器」として育成された
AFOの最終目的は、OFAの奪還でした。しかし万縄大悟郎や揺蕩井煙との交戦を通じて、AFOはOFAを奪うには単なる力だけでは不十分だと悟ります。OFAを継承している者の意志力を上回らなければ、奪還は不可能なのです。
そこでAFOが考えたのが、オールマイトの意志を削ぐための存在を作り出すことでした。最も強い感情、抑圧された憎しみ、歪んだ破壊衝動──これらを持つ完璧な「器」として、死柄木弔は育成されたのです。
平和の象徴であるオールマイトの恩師の孫が、最悪のヴィランになる。この事実そのものが、オールマイトの意志を砕く最強の武器でした。AFOは死柄木を使ってオールマイトを精神的に追い詰め、その隙にOFAを奪おうと目論んでいたのです。
死柄木弔は本作最大の被害者です。生まれる前から運命を操作され、個性を奪われ、悲劇を演出され、憎悪を植え付けられ、ヴィランとして育成された。彼が行った悪行は許されるものではありません。しかし同時に、彼は自分の意志で選んだわけではない運命を背負わされた、最も悲しい存在でもあるのです。
死柄木弔の過去から見えるヒロアカのテーマ

死柄木弔の過去は単なるヴィランの生い立ちではなく、『僕のヒーローアカデミア』という作品が投げかける深いテーマを体現しています。環境と運命、ヒーロー社会の光と影、そして善悪の境界線──死柄木の物語を通して、堀越耕平先生が描きたかった世界の真実が見えてきます。
環境と個性発現のトラウマが人格を形成する
死柄木の物語が示すのは、人間の人格形成において環境がいかに重要かということです。転弧は本来、心優しくヒーローに憧れる普通の男の子でした。しかし家庭環境の歪み──父のヒーロー嫌い、抑圧的なルール、姉の裏切り、家族の無関心──が彼の心を徐々に蝕んでいきました。
さらに個性発現のタイミングが最悪でした。精神的に追い詰められた状態で、コントロールできない破壊の個性が発現する。そして大切な家族を次々と殺害してしまう。このトラウマは、5歳の子供には到底耐えられるものではありませんでした。
作中では他のヴィランたちも、それぞれに環境と個性による苦悩を抱えています。トガヒミコは個性への嫌悪から抑圧され、トゥワイスは個性の副作用で精神を病み、荼毘は父の期待と個性の不一致に苦しみました。環境と個性が人格形成に与える影響の大きさ──これがヒロアカの重要なテーマの一つです。
誰でもヴィランになり得る。環境次第で、個性の使い方次第で、人は簡単に道を踏み外してしまう。死柄木の過去は、その現実を突きつけているのです。
ヒーロー社会の闇と「助けられなかった」子供たち
転弧が血まみれで街を彷徨った時、誰も助けてくれませんでした。ヒーローが溢れる社会なのに、5歳の子供は誰にも救われなかった。この事実は、ヒーロー社会の構造的な問題を浮き彫りにしています。
ヒーローは犯罪者と戦い、災害から人々を救います。しかし、派手な事件の影で苦しむ人々──虐待を受けている子供、差別されている異形個性者、社会から疎外された人々──は、ヒーローの目に留まりません。転弧のように、誰からも手を差し伸べられない人々が存在するのです。
志村菜奈の選択も、このテーマに関わっています。彼女は多くの人を救うヒーローでしたが、自分の息子を守ることはできませんでした。弧太朗を里子に出したことが、巡り巡って孫の転弧を破滅させました。ヒーローとして活動すること家族を守ることの両立の難しさ──これもまた、ヒーロー社会が抱える矛盾です。
ヒロアカは決してヒーローを否定する作品ではありません。しかし、ヒーロー社会の光の部分だけでなく、影の部分にも目を向けることの重要性を訴えています。
デクとの対比──「君はヒーローになれる」と言われた世界線との違い
デクと死柄木(転弧)の対比は、ヒロアカという物語の核心です。二人は驚くほど似た境遇にありました。
デクも無個性で苦しみました。クラスメイトにいじめられ、「無個性じゃヒーローになれない」と言われ続けました。もし、あの日オールマイトに出会わなかったら。もし「君はヒーローになれる」という言葉をかけられなかったら。デクの運命は全く違うものになっていたでしょう。
対照的に、転弧は誰にも「大丈夫だ」と言ってもらえませんでした。誰も手を差し伸べてくれず、ただAFOだけが彼を拾い上げた。言葉一つ、行動一つで、人の運命は大きく変わります。
デクが最終決戦で死柄木を救おうとするのは、この対比があるからです。もし自分が救われなかったら、自分が死柄木だったかもしれない。だからこそデクは、死柄木の中にいる転弧を救い出そうとするのです。
善悪の相対性──死柄木弔は加害者であり最大の被害者
死柄木弔は数え切れないほどの人々を殺害しました。彼の行為は許されない悪行であり、多くの人の人生を奪った罪は消えません。しかし同時に、死柄木は本作最大の被害者でもあります。
生まれる前から運命を操作され、無個性にされ、悲劇を演出され、憎悪を植え付けられ、ヴィランとして育成された。AFOの計画がなければ、志村転弧は普通の人生を歩んでいたでしょう。ヒーローに憧れる優しい子供のまま、幸せな人生を送れたかもしれません。
善悪の境界線は、私たちが思うほど明確ではありません。環境、運命、そして誰かの悪意によって、人は簡単に「悪」の側に追い込まれてしまいます。死柄木の行為を肯定することはできません。しかし、彼がなぜそうなったのかを理解することは重要です。
ヒロアカが描くのは、単純な勧善懲悪の物語ではありません。加害者と被害者、善と悪、光と影──その境界線の曖昧さと、それでも人が人を救おうとする姿勢こそが、この作品の最も深いテーマなのです。
死柄木弔の過去に関するよくある質問

死柄木弔の過去に関して、ファンからよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。基本情報から該当話数まで、簡潔に回答していきます。
死柄木弔の本名と年齢は?
本名は志村転弧(しむら てんこ)です。初登場時の年齢は20歳で、誕生日は4月4日です。父方の祖母はOFA七代目継承者・志村菜奈であり、オールマイトの師匠にあたります。
死柄木弔が身につけている手は誰の手ですか?
死柄木が装着している手は、個性「崩壊」で殺害した家族6名(父・母・姉・祖父・祖母、飼い犬モンちゃん)と、最初に意図的に殺害したチンピラ2名の手です。合計14本の手を身につけています。顔に装着されている最も大きな手は父・弧太朗のものです。
死柄木弔の個性「崩壊」はいつ発現しましたか?
個性「崩壊」は転弧が5歳の時に発現しました。父に叱られた後、庭で飼い犬のモンちゃんを抱きしめた瞬間に初めて発動し、その後家族全員を崩壊させてしまいます。後に明らかになりますが、この個性はAFOが意図的に与えた粗悪な複製品でした。
死柄木弔と志村菜奈の関係は?
志村菜奈は死柄木の父方の祖母です。彼女はOFA七代目継承者であり、オールマイトの師匠として知られるヒーローでした。しかし、AFOから家族を守るために息子の弧太朗を里子に出したことが、巡り巡って孫の転弧を破滅させる遠因となってしまいました。
AFOはなぜ死柄木弔を選んだのですか?
AFOが志村転弧を選んだ理由は、彼が志村菜奈の孫だったからです。OFAへの執着と志村菜奈への復讐心から、AFOは志村家を標的にしました。さらに、オールマイトの意志を削ぐための最適な「器」として、転弧を赤ん坊の頃から観察し、計画的に育成していたのです。
死柄木弔の過去はアニメ・漫画の何話ですか?
死柄木弔の過去エピソードは以下で描かれています。
- アニメ:第5期 第111話「志村転弧:オリジン」、第112話「死柄木弔:オリジン」
- 原作漫画:第25巻 第237話「志村転弧:オリジン」第238話「死柄木弔:オリジン」
アニメでは家族を崩壊させるシーンが動きと色彩で表現され、転弧の感情がより鮮明に伝わります。漫画では細かな心理描写と表情の変化が丁寧に描かれています。どちらも必見のエピソードです。
死柄木弔の過去まとめ

死柄木弔の過去は、『僕のヒーローアカデミア』という作品が持つ深いテーマ性を体現しています。本名・志村転弧として生まれた彼は、5歳の時に家族全員を個性「崩壊」で失い、誰にも救われることなくAFOに拾われました。しかしその全てはAFOが仕組んだ計画であり、個性すらもAFOが与えた複製品だったという衝撃の真実が明かされます。
身につけている14本の手は家族とチンピラ2名のもので、AFOによる心理操作の道具として機能していました。志村菜奈の孫という血筋、無個性としての劣等感、家庭内の抑圧──すべてが計算され、死柄木弔は「恐怖の象徴」として育成されたのです。
2025年10月から放送中のFINAL SEASONでは、デクと死柄木の最終決戦が描かれています。死柄木の過去を知ることで、この戦いがただの善悪の対決ではなく、「救う」ための戦いであることが理解できるでしょう。史上最悪のヴィランでありながら本作最大の被害者でもある死柄木弔の物語は、ヒロアカという作品の核心そのものなのです。
ゼンシーア
