『私を喰べたい、ひとでなし』ネタバレ全巻解説!11巻までのあらすじ

死にたい女子高生・比名子と、「いつか喰べる」と約束して彼女を守り続ける人魚・汐莉。 百合×ホラー×妖怪譚が絶妙に混ざり合った『私を喰べたい、ひとでなし』は、巻を追うごとに“愛”と“死”の境界線がどんどん揺らいでいきます。 この記事では、コミックス1〜11巻までの流れをネタバレ込みでざっくり振り返りつつ、キャラ解説・結末予想・アニメ情報まで一気にまとめていきます。

『私を喰べたい、ひとでなし』ネタバレ全巻解説【1巻~11巻】

まずは11巻までの大きな流れを、「契約の始まり」から「あざみ登場後の不穏な空気」まで、区切りごとに整理していきます。巻数ごとの細かい出来事を追いつつ、「比名子が何を願い、汐莉が何を恐れているのか」に注目して読むと、作品の切なさがより刺さってきます。

1巻~3巻:比名子と汐莉の出会い、守る代わりに喰べる契約

物語は、家族を事故で失い「本当は自分も一緒に死にたかった」と心の底で願っている比名子が、海で怪異に襲われるところから始まります。彼女を救ったのが、人魚の少女・汐莉。翌日には転校生として現れ、「あなたを守る代わりに、いつか私が喰べる」と宣言します。比名子にとって“喰べられる”ことは、終わりであると同時に救い。死にたがっている自分を肯定してくれた汐莉の言葉に、どこか安堵を覚えてしまいます。

一方で、幼なじみの美胡もまた、人間ではない“何か”であることが少しずつ示されていきます。3巻にかけて、美胡の正体が「人喰いの狐であり、土地を守る神として鎮められた存在」であることが明かされ、彼女は比名子を守るため自ら妖力を捨て、人間のそばにいる道を選びます。美胡の自己犠牲は、後の展開で比名子の心の支えとして大きく響いてきます。

4巻~6巻:汐莉の血が比名子を生かした真実が明らかに

中盤では、「なぜ比名子の血は妖怪にとってたまらなく“美味しい”のか」「なぜ彼女だけ事故で生き残ったのか」という謎が、本格的に掘り下げられます。 合宿先で現れた妖怪・あやめとの騒動を経て、「自分の血が混じった人間はまずい」というあやめの一言が、比名子の中に強烈な違和感を残します。そこから、汐莉の過去と比名子の体の秘密が紐づいていきます。

回想パートでは、家族旅行で訪れた海で、比名子と汐莉がかつて出会っていたことが判明。瀕死の汐莉に食べ物を分け続けた幼い比名子に対し、汐莉は「喰べたいのに喰べたくない」という矛盾に揺れながら、代わりに自分の血を与えます。その血が、のちの交通事故で比名子だけを生かし、同時に妖怪を惹き寄せる“匂い”を持つ血肉に変えてしまった――という残酷な真実が明らかになります。

7巻:汐莉の告白と「幸せになったら喰べる」という新たな約束

7巻では、比名子がついに「海の怪異に飛び込めば楽になれる」と、自死を選ぼうとするクライマックスが描かれます。そこへ飛び込んでくるのが汐莉。 汐莉は封じていた過去の記憶を比名子に返し、幼い頃から抱き続けてきた想いと罪悪感をさらけ出します。比名子を生かしたのも、自分の血で“縛って”しまったのも、全部自分だという事実に苦しみ続けてきたことが語られるのです。

その上で汐莉は、「比名子が本当に幸せになったら、その時はまずくなっていても必ず喰べる」と新しい約束を提示します。 ここで重要なのは、“いつでも喰べてあげる”から“幸せになったあとで喰べる”へと、約束の内容が変質していること。比名子の「死にたい」という願いは、「生きて幸せになったあとで終わりたい」という、より複雑な形へと変わっていきます。

8巻~9巻:椿の介入により美胡の凶暴な過去が露呈

8〜9巻では、美胡の過去を揺さぶる存在・椿が登場します。椿は隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)と呼ばれる大妖怪であり、美胡がかつて人間たちを嬲り殺していた頃を知る旧友です。 彼は、美胡が妖力を捨てて比名子のそばにいようとする今の生き方を嘲笑し、「そんな過去を知ったら比名子はお前を受け入れない」と残酷な言葉を浴びせます。

やがて椿の介入で、美胡の中に封じられていた凶暴性の“枷”が壊され、彼女は再び制御不能な獣として暴走しかけます。しかし、最終的には比名子や汐莉との繋がりの中で、彼女は“友人としてそばにいたい”という現在の願いを選び取り、椿との一件もひとまずの決着を迎えます。 ただし椿の背後には、彼を唆した存在がいることが示唆され、物語は次の不穏なステージへと進んでいきます。

10巻~11巻:不老不死のあざみ登場、汐莉の過去と対峙

10巻以降のキーワードが、不老不死の存在・あざみです。汐莉が人魚として長い時を生きる中で、気まぐれに救い、自己の肉を与えたことで不老不死になった人間――それがあざみ。彼女は汐莉に強く執着し、その在り方はある意味「汐莉が比名子にしてしまうかもしれない未来」を先取りしたような存在でもあります。

11巻では、比名子が「保護者」だと思っていた伯母・大島の存在が大きく動き出します。 この土地で長く暮らしている美胡ですら知らない親族であり、比名子の家族事情に異様なほど詳しい――その違和感が、「伯母の正体は本当に人間なのか?」という疑念に繋がっていきます。作中でも彼女とあざみの関係性がほのめかされ、汐莉の過去と現在が、比名子の運命に再び重くのしかかってくる局面です。

『私を喰べたい、ひとでなし』の登場キャラクター

ここからは物語の核となる3人――比名子・汐莉・美胡――の関係性と、11巻時点での立ち位置を整理していきます。3人とも「守りたい」と「喰べたい」の間で揺れ動く、かなり危ういバランスの上に立っています。

比名子

八百歳比名子は、家族を事故で失って以来、「自分も一緒に死ぬべきだった」と思い続けてきた少女です。 汐莉の血によって一命を取り留めた結果、妖怪たちにとって極上の“餌”のような匂いを放つ存在になってしまい、常に命を狙われています。

物語序盤では「喰べられて終わりたい」という願望が強いものの、美胡や汐莉と過ごす中で、少しずつ「生きていたい」という感情も芽生えていきます。その反面、「死にたい自分」と「生きたい自分」のギャップに苦しみ、自分を“ひとでなし”だと責めてしまう場面も多く、読者の胸をえぐるキャラクターです。

汐莉

近江汐莉は、人魚でありながら比名子に強く執着する存在です。 「成熟した最もおいしい瞬間に比名子を喰べる」という契約を掲げつつ、実際には彼女を守り、死なせたくないと強く願っています。汐莉にとって「喰べる」とは、比名子を永遠に自分のものにする行為であり、愛と独占欲が極限までこじれた表現でもあります。

巻を重ねるごとに、その葛藤は「喰べたいのに喰べられない」「愛しているから喰べてはいけない」という方向へと傾いていきます。比名子の命を救った祈りが、結果的に比名子を呪いのように縛っている――その事実に誰よりも苦しんでいるのが汐莉なのです。

美胡

社美胡は、比名子の幼なじみであり、かつて人間を喰らっていた狐の妖怪でもあります。 過去には凶暴な妖怪として恐れられていましたが、坊主の手によって土地神として祀られ、その後は自らの妖力を捨て、比名子の“友人”としてただそばにいる道を選びます。

彼女は比名子にとって、「自分の過去を知った上でそばにいてくれる存在」であり、汐莉にとっては「比名子を守るもう一人の怪異」です。椿に過去を暴かれたあともなお、比名子の隣に立ち続ける美胡の姿は、“赦されたい妖怪”の切なさと強さを体現しています。

『私を喰べたい、ひとでなし』の結末を予想

ここからは、11巻時点での情報を踏まえた「もしこのまま物語が終わるとしたら」という結末予想になります。 原作は2025年11月時点でまだ完結しておらず、コミックスも11巻まで刊行・連載継続中なので、あくまで現状から読み取れる“仮説”として楽しんでください。

比名子は最終的に汐莉に喰べられる運命だと思われる

物語のテーマが「喰べる=愛する」である以上、「絶対に喰べない」という選択で終わる可能性は高くありません。 むしろ、比名子が「生きたい」「幸せになってから終わりたい」と心から願えた瞬間に、汐莉がその願いを叶える――つまり、約束どおり喰べるという形で二人の物語が閉じるパターンは、かなり有力な候補と言えます。

ただしその場合でも、「喰べる=完全な死」ではなく、比名子が汐莉の中に“取り込まれて共に在り続ける”ような、比喩的かつ象徴的なエンディングになる可能性があります。肉体の死と、関係性としての“生”をどう両立させるかが、クライマックスの大きなポイントになりそうです。

悲劇的な結末を迎える可能性が高い理由

本作全体の空気感は、救いのないダークエンドにまっすぐ突き進むタイプではないものの、「誰かが何かを失わないと成立しない幸せ」が前提になっています。 比名子は、自分だけが生き残ったことに罪悪感を抱え続け、汐莉は比名子を救ったはずの祈りを呪いとして背負い、美胡もまた凶暴な過去と現在の穏やかな日々の間で揺れています。

  • 誰かが生き残るためには、誰かの“願い”が犠牲になる
  • 「喰べる」「喰べられる」という約束は、根本的にどちらかの喪失を意味する

こうした構造から考えると、完全無欠なハッピーエンドよりも、「読者の心に痛みを残しつつ、それでも二人なりの答えを見つける」タイプのビターエンド寄りの結末になる可能性が高いと考えられます。

あざみの存在が結末に与える影響

不老不死のあざみは、「汐莉が自分の欲望のままに人間へ干渉した結果生まれた、歪んだ延命の象徴」です。 彼女の存在は、「喰べて終わらせる」ことと、「喰べずに永遠に縛り続ける」こと、どちらがより残酷なのかというテーマを浮き彫りにします。

終盤であざみが本格的に物語に絡んでくれば、

  • 比名子を“死ねない存在”に変えようとする(あざみと同じ道へ引き込む)
  • 汐莉に「二度と同じ過ちを繰り返さない」決断を迫る

といった展開が予想されます。 最終的に汐莉が「あざみのような永遠」を取るのか、「約束どおり喰べて終わらせる」のか――彼女の選択が、作品全体のメッセージを決定づけるはずです。

『私を喰べたい、ひとでなし』の魅力

ここからは、なぜ『私を喰べたい、ひとでなし』がここまで熱い支持を集めているのか、その魅力を3つのポイントから整理します。百合マンガとしても、和風ホラーとしても、一筋縄ではいかない作品です。

百合×ホラー×妖怪譚という唯一無二のジャンル融合

「喰べる」という行為は、作中で単なる食欲ではなく、「相手を完全に自分のものにする」「終わらせる」行為として描かれています。比名子は“喰べられたい”と願いながら、本当は“生きる意味を誰かに与えてほしい”とも願っていて、汐莉は“喰べたい”と願いながら、“彼女を失うのが怖い”とも思っている。このねじれが、物語を強烈にドラマチックにしています。

一般的な百合作品は、青春や日常のきらめきを描くものが多いですが、本作はそこに「妖怪」「人魚」「喰べる契約」といったダークな要素をぶち込んでいます。 比名子と汐莉の関係性は、友情や恋愛の枠を明らかにはみ出しており、「愛しているからこそ喰べたい」「喰べられることで救われたい」という、通常のラブストーリーではなかなか描かれない感情が正面から扱われます。

可愛い絵柄と重厚なストーリーのギャップ

キャラクターデザインは全体的に柔らかく、可愛らしいタッチですが、描かれる内容はかなりシビアで重いです。 海辺の街ののどかな空気や、比名子たちの日常的なやり取りのコマのすぐ裏側に、妖怪たちの餌として狙われる現実や、家族を失ったトラウマが潜んでいる。この「見た目の可愛さ」と「テーマの残酷さ」のギャップに、ハマる読者が続出しています。

『私を喰べたい、ひとでなし』に関するよくある質問

最後に、検索されやすい疑問をQ&A形式でまとめます。アニメから入った人が原作に手を伸ばすときにも、ざっくり状況を把握しやすい内容になっています。

原作漫画は完結していますか?最終巻はいつ発売ですか?

2025年11月時点で、原作漫画『私を喰べたい、ひとでなし』はまだ完結していません。 雑誌『電撃マオウ』およびWEB「カドコミ」で連載継続中で、コミックスは第11巻まで刊行済みです。11巻は2025年10月に発売されており、その先の最終巻や完結時期は公式には発表されていません。

アニメは何クールで全何話の予定ですか?

TVアニメ版『私を喰べたい、ひとでなし』は、2025年10月2日からAT-X・TOKYO MXほかで放送中の1クール作品で、Blu-rayの情報などから全13話構成であることが公表されています。1期では原作1〜5巻あたりまでを中心に描くと予想されており、血の秘密が明かされる中盤までがひとつの区切りになる構成です。

比名子の血が妖怪を惹きつける理由は何ですか?

比名子の血が妖怪を強烈に惹きつける理由は、幼い頃に汐莉の血を与えられたことと、家族を巻き込んだ交通事故をきっかけに血が“変質”してしまったことにあります。 人魚の血によって一度死の淵から引き戻された結果、彼女の血肉は妖怪にとって極上の餌となる匂いを放つようになり、土地の怪異たちが彼女を狙うようになったのです。

美胡はなぜ妖力を失ったのですか?

美胡は元々、人間を喰らっていた凶暴な狐の妖怪でしたが、比名子やこの土地の人々を守るため、自らの妖力を手放しました。 彼女は自傷行為のように自分の体を傷つけて力を捨て、恐れられる存在ではなく、“友人”として比名子のそばにいる未来を選び取ります。この選択があったからこそ、椿に過去を暴かれてもなお比名子の隣に立ち続ける、今の美胡がいるのです。

アニメや原作はどこで視聴・購入できますか?

アニメ版は、日本国内ではAT-X・TOKYO MX・BSフジ・BS日テレ・サンテレビ・愛媛朝日テレビなどで放送されているほか、ABEMA・dアニメストア・U-NEXT・Amazonプライム・Lemino・DMM TVなどの動画配信サービスでも順次配信されています。地域やサービスによって配信状況が異なるため、最新情報は各公式サイトや配信サービスの作品ページをチェックしてください。

原作コミックスはKADOKAWAの「電撃コミックスNEXT」レーベルから刊行されており、書店・ネット書店・電子書籍ストア(カドコミ、各種電子書店)で購入可能です

『私を喰べたい、ひとでなし』ネタバレ全巻解説まとめ

『私を喰べたい、ひとでなし』は、死にたい少女と彼女を喰べたい人魚の、あまりにも歪で、だからこそ美しい物語です。1〜11巻までを通して描かれるのは、「喰べる/喰べられる」という禁断の約束の裏側にある、“生きたい”というか細い願いと、“ずっと一緒にいたい”という切ない祈りでした。

比名子は本当に汐莉に喰べられてしまうのか、それとも二人は別の形の“永遠”を選ぶのか――。 アニメ化によって新たなファンも増え、今後ますます話題になることが確実な作品なので、気になった方はぜひ原作・アニメの両方で「わたたべ」の世界に浸ってみてください。 結末がどう転んでも、きっと忘れられないラストになるはずです。

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