本コンテンツはゼンシーアの基準に基づき制作していますが、本サイト経由で商品購入や会員登録を行った際には送客手数料を受領しています。
『推しの子』に登場する謎の少女・ツクヨミ。白い髪に黒い服をまとい、常にカラスを従えるその姿は、物語の核心に触れる重要な存在として多くのファンを魅了してきました。彼女は一体何者なのか?神様なのか、それとも人間なのか?アクアとルビーの転生にどう関わっているのか?原作145話で明かされた衝撃的な過去や、小説版『二人のエチュード』で判明した新事実を踏まえ、ツクヨミの正体に関する様々な説を徹底解説します。カラス説、月読命説、天鈿女命説、そして最有力の社家人間説まで、全ての可能性を検証。アニメ第3期で描かれるであろう彼女の真実を、今のうちに完全理解しておきましょう!
ツクヨミの正体①:ゴローとさりなに助けられたカラス説
『推しの子』ファンの間で最も注目を集めている説の一つが、ツクヨミの前世がカラスだったというものです。この説は原作145話で描かれた衝撃的な過去シーンによって、一気に信憑性を増しました。
145話で明かされた衝撃の過去シーン
原作145話は、ツクヨミの正体に迫る超重要エピソードとして『推しの子』ファンの間で大きな話題となりました。映画『15年の嘘』の撮影中、ツクヨミは過去の記憶を鮮明に思い出します。そこに描かれていたのは、転生前の天童寺さりなと雨宮ゴローの姿、そして一羽のカラスでした。この回想シーンは、物語全体の謎を解く鍵として機能しており、ツクヨミという存在の本質に迫る重要な手がかりとなっています。
網に引っかかったカラスを助けたさりなとゴロー
回想シーンでは、網に絡まって身動きが取れなくなったカラスの姿が描かれています。そこに偶然通りかかったのが、当時まだ幼かった天童寺さりなと産婦人科医の雨宮ゴローでした。二人は協力してカラスを網から解放し、優しく手当てをします。このシーンは一見何気ない善行のように見えますが、実はツクヨミとゴロー・さりなとの運命的な繋がりの始まりだったのです。カラスを助けたこの行為が、後のアクアとルビーの転生という壮大な物語へと繋がっていくことになります。
「ずっと可愛い子供のまま」発言の真意
ツクヨミが語った「ずっと可愛い子供のまま」という言葉には、深い意味が込められています。この発言から読み取れるのは、ツクヨミ(あるいはその前身であるカラス)が、ゴローやさりなよりも年上の存在だったという事実です。二人を「子供」と表現することで、保護者的な、あるいは見守る者としての立場が示唆されています。さらに、さりなが若くして亡くなり、ゴローも殺害されたことで、二人は文字通り「ずっと可愛い子供のまま」となってしまいました。ツクヨミのこの言葉には、二人への深い愛情と同時に、彼らを失った悲しみが滲み出ているのです。
カラスからどうやって人間の姿になったのか
最大の謎は、カラスだったツクヨミがどのようにして人間の姿を得たのかという点です。あのカラスは単なる鳥ではなく、先代ツクヨミの意識が憑依した「依代」だった可能性が高いとされています。つまり、本体である先代ツクヨミが外界を観察するために使っていた器がカラスだったということです。先代ツクヨミの死後、「死者の記憶を赤子に植え付ける技術」によって次世代に記憶が継承され、現在の人間の姿をしたツクヨミが誕生したと考えられます。この解釈であれば、カラスの記憶を持ちながら人間として存在するツクヨミの矛盾が解消されます。アニメ第3期でこのシーンがどう描かれるのか、ファンの期待は高まるばかりです。
ツクヨミの正体②:日本神話の月読命(ツクヨミノミコト)説
謎の少女が「ツクヨミ」という芸名を名乗ったことから、日本神話における月読命との関連性を指摘する考察が数多く存在します。単なる偶然の一致ではなく、作品全体に張り巡らされた神話的要素を考えると、この説には深い意味が込められているように思えます。
三貴子の一柱である月読命の役割と転生との関係
月読命は、日本神話において最も尊いとされる三貴子の一柱です。姉である天照大御神が太陽と高天原を、弟である須佐之男命が海原を統治するのに対し、月読命は「夜の国」を統治する役割を与えられました。注目すべきは、この「夜の国」という概念が、しばしば黄泉の国、すなわち死者の世界と関連づけられる点です。イザナギが黄泉の国から逃れ、禊を行った際に右目から生まれたという出自も、月読命が「死」と「再生」という概念と深く結びついていることを示唆しています。『推しの子』におけるツクヨミがアクアとルビーの転生に関与したとすれば、死者の魂を新たな命へと導く存在として、月読命の神格は完璧に符合するのです。
高千穂町と日本神話の深い繋がり
ツクヨミが初登場したのは、B小町のMV撮影で訪れた宮崎県高千穂町でした。この土地選択は決して偶然ではありません。高千穂町は天孫降臨の地として知られ、日本神話の中核を成す聖地です。古事記や日本書紀によれば、三貴子は宮崎の地で誕生したとされており、まさにツクヨミが姿を現すにふさわしい場所だったのです。アクアも作中で「神話の話に関しては中には真実もあると思ってる」と発言しており、『推しの子』の世界観では神話と現実の境界が曖昧になっています。高千穂という舞台設定そのものが、ツクヨミと月読命の繋がりを暗示する重要な伏線となっているのです。
「死」を司る神としての能力の可能性
月読命は月を司る神であり、月の満ち欠けは古来より生と死、再生の循環を象徴してきました。新月は死を、満月は生命の充溢を表し、その周期的な変化は魂の転生そのものを暗喩しています。ツクヨミがアクアとルビーの転生を可能にしたのだとすれば、それは月読命が持つ「死者の魂を司る力」の発現と解釈できます。さらに、ツクヨミがアクアに対して「星野アイの魂はもう二度と再形成されることはない」と断言したシーンも、彼女が魂の行方を正確に把握できる立場にあることを示しています。死と再生を統べる月の神・月読命の能力こそが、『推しの子』という物語の根幹を支える超常的システムの正体なのかもしれません。
ツクヨミの正体③:芸能の神・天鈿女命(アメノウズメノミコト)説
芸能界を舞台とする『推しの子』において、ツクヨミが芸能の神・天鈿女命と関連しているという説は極めて説得力があります。この説は作品のテーマ性と見事に合致しており、多くのファンから支持を集めています。
芸能界を舞台とする『推しの子』との関連性
天鈿女命は日本神話における芸能・芸術の女神として知られています。天岩戸神話において、天照大神が岩戸に隠れた際、桶を踏み鳴らしながら情熱的な舞を披露し、八百万の神々を笑わせて天照大神を岩戸から引き出すことに成功しました。この伝説から、天鈿女命は歌舞の始祖神、芸人やコメディアン、俳優の祖として崇められてきました。『推しの子』が芸能界という舞台を選んだのは偶然ではありません。星野アイというトップアイドルの物語、そしてアクアとルビーが芸能界で活躍する設定は、芸能の神である天鈿女命の存在を暗示していると考えられます。ツクヨミ自身が映画『15年の嘘』に子役として出演したことも、彼女が芸能と深い関わりを持つ存在であることを示しているのです。
高千穂町の荒立神社に祀られている意味
物語の重要な舞台となった高千穂町には、天鈿女命を祀る荒立神社が実在します。この神社は猿田彦命と天鈿女命が結婚して暮らした地とされており、現代でも多くの芸能人が参拝に訪れるパワースポットとして知られています。作者の赤坂アカ先生と横槍メンゴ先生がわざわざ高千穂町を舞台に選び、そこにツクヨミを登場させたのは、明らかに天鈿女命との繋がりを意識した設定でしょう。荒立神社は芸能上達、縁結び、所願成就のご利益があるとされていますが、これらはまさに『推しの子』の登場人物たちが求めているものと一致します。アクアとルビーが芸能界で成功を収め、様々な人との縁を結んでいく物語の展開は、天鈿女命の加護を受けているかのようです。
なぜ映画「15年の嘘」に出演したのか
ツクヨミが映画『15年の嘘』に出演したことには、深い意味が隠されている可能性があります。天鈿女命は神楽を通じて神々を楽しませ、世界を救った存在です。同様に、ツクヨミも「演じる」ことで何かを成し遂げようとしているのかもしれません。アクアから煽られて思わず承諾してしまったように見えますが、実は彼女自身も「演じること」を通じて、アクアとルビーの真実に迫りたかったのではないでしょうか。芸能の神としての本質が、彼女を舞台へと駆り立てたと考えることもできます。天鈿女命が岩戸の前で舞を踊って真実を明らかにしたように、ツクヨミも映画という舞台で何かを伝えようとしていた──そう考えると、彼女の出演には必然性が感じられます。アニメ第3期でこのシーンが描かれたとき、視聴者は改めてツクヨミの真意に気づくことになるでしょう。
ツクヨミの正体④:導きの神・八咫烏説
ツクヨミの周囲には常にカラスたちが群がっています。この特徴的な描写から、彼女と日本神話における導きの神・八咫烏との関連性を指摘する考察が生まれました。
常にカラスを引き連れている理由
ツクヨミが登場するシーンでは、必ずと言っていいほど複数のカラスが描かれています。初登場の75話では大きな木の下でカラスに囲まれており、79話ではカラスを使ってルビーをゴローの遺体へと誘導しました。この演出は単なる雰囲気作りではなく、ツクヨミの本質を示す重要な要素です。日本神話において、カラスは神の使いとして特別な意味を持ちます。とりわけ八咫烏は、神武天皇を大和の地へと導いた伝説の三本足のカラスとして知られ、導きの神としての性格を持っています。ツクヨミが常にカラスを従えているのは、彼女自身が「導く者」としての役割を担っていることを象徴しているのかもしれません。
アクアとルビーを導く存在としての役割
物語全体を俯瞰すると、ツクヨミはアクアとルビーを様々な場面で「導いて」います。ルビーをゴローの遺体発見へと導き、アクアには星野アイの魂の行方を伝え、そして映画出演を通じて二人の過去と向き合わせました。これらの行動は一見無秩序に見えますが、実は二人を特定の方向へと誘導する意図が感じられます。八咫烏が神武天皇を正しい道へと導いたように、ツクヨミもまたアクアとルビーを彼女が考える「正しい道」へと導こうとしているのです。ただし、その「正しさ」が本当に二人の幸福に繋がるのかは別問題です。導きの神は道を示すだけで、その先の選択は人間に委ねられるのですから。
ただのカラスではなく神の使いである根拠
145話の回想シーンで描かれたカラスは、明らかに普通のカラスではありませんでした。さりなの死を見届け、ゴローの姿を追い続けたそのカラスには、人間のような意志と感情が宿っているように見えます。提供された考察資料によれば、このカラスは先代ツクヨミの意識が憑依した依代だった可能性が示唆されています。つまり、ツクヨミの周囲にいるカラスたちも、単なる鳥ではなく何らかの霊的な存在である可能性が高いのです。八咫烏が太陽の化身とされるように、これらのカラスも神聖な力を宿した存在として機能しているのでしょう。だからこそツクヨミはカラスを自在に操り、遠隔地の情報を収集したり、人を特定の場所へ誘導したりすることができるのです。
ツクヨミの正体⑤:格式高い社家に生まれた人間説
小説版『推しの子 二人のエチュード』で明かされた情報により、ツクヨミの正体について決定的な手がかりが得られました。これまでの「神様説」とは異なる、人間としての側面が浮かび上がってきたのです。
小説「二人のエチュード」で明かされた「オカルトの世界」
小説版では、ツクヨミについて「彼女が籍を置いているのは、オカルトの世界だ。格式高い社家同士の間に生まれた、名前がない彼女」という重要な記述があります。この一文により、ツクヨミが完全な超常的存在ではなく、実在する人間であることが確定しました。映画『15年の嘘』に子役として出演できたのも、保護者の同意を得られる実在の人間だからこそ可能だったわけです。しかし同時に、彼女は普通の人間でもありません。「オカルトの世界」に籍を置くという表現は、彼女が神秘的な力を扱う特殊な家系に生まれたことを示唆しています。つまりツクヨミは、人間でありながら超常的な能力を持つ、両者の境界に立つ存在なのです。
「名前のない彼女」の真意と社家の役割
「名前がない」という表現は一見矛盾しているように思えます。実在する人間なら戸籍があり、当然名前もあるはずです。しかし、この「名前がない」は「オカルト世界的に名前がない」という意味だと解釈できます。社家とは、特定の神社に代々仕えてきた家柄のことです。ツクヨミは社家の家系において「神」としての役目を与えられた存在であり、個人の名前ではなく「ツクヨミ」という神の名を背負って生きています。彼女にとって個人的な名前は意味を持たず、重要なのは「ツクヨミ」という役割そのものなのです。あるいは、様々な神を降ろす審神者としての役目を持つため、特定の個人名を持つことが許されていない可能性もあります。神の器として生きる彼女には、人間としてのアイデンティティが許されていないのかもしれません。
死者の記憶を赤子に植え付ける外法を使う存在
ツクヨミの社家に伝わる最大の秘術が「死者の記憶を赤子に植え付ける技術」です。作中では「外法」と表現されていますが、これは一般的な意味での魔法や超能力と同列に扱うべきではありません。外法とは本来、正統な秘術の禁じ手にあたるものを指します。つまり、ツクヨミの社家には「外法」ではない正当な秘術も存在するということです。しかし一般人からすれば、どちらも超常的な力であることに変わりはありません。この技術こそが、アクアとルビーの転生を可能にした核心的メカニズムだと考えられます。ゴローとさりなの記憶を、本来は魂のなかった(死産するはずだった)アイの双子に植え付けることで、二人は前世の記憶を持ったまま新しい人生を歩み始めました。この超常的な現象の裏には、何千年も受け継がれてきた社家の秘術があったのです。
先代ツクヨミからの記憶継承システム
最も驚くべき事実は、ツクヨミ自身もまた「死者の記憶を赤子に植え付ける技術」によって生み出された存在だという点です。彼女は先代ツクヨミの記憶を継承しており、何代にもわたって「ツクヨミ」という役割が受け継がれてきました。145話でカラス時代の記憶を思い出すシーンがありましたが、あれは彼女自身の記憶ではなく、先代ツクヨミから継承した記憶だったのです。先代ツクヨミはカラスを依代として外界を観察していました。そのカラスがゴローとさりなに助けられ、二人に恩を感じた先代ツクヨミは、彼らを自分の「推し」として見守り続けました。そして先代の死後、記憶が現ツクヨミに継承され、彼女もまたゴローとさりなへの思いを引き継いだのです。このシステムにより、ツクヨミという存在は個人を超越し、何世代にもわたる記憶と経験を蓄積した特別な存在となっています。アニメ第3期でこの複雑な設定がどう描かれるのか、原作ファンは固唾を呑んで見守ることになるでしょう。
否定されているツクヨミの正体説

ツクヨミの正体については様々な考察が飛び交っていますが、中には作中の描写や設定と矛盾するため否定されている説も存在します。ここでは主要な「否定説」を整理しておきましょう。
星野アイの転生説
一部のファンの間では「ツクヨミは星野アイの転生ではないか」という説が囁かれていました。確かにアイの死後に謎の少女が登場したタイミングや、アクアとルビーを気にかける態度は、母親の愛情のようにも見えます。しかし、この説は作中の描写によって明確に否定されています。ツクヨミ自身がアクアに対し「星野アイの魂はもう二度と再形成されることはない」と断言しているのです。もし彼女がアイの転生だったなら、このセリフは矛盾します。さらに、ツクヨミはさりなの過去についても詳しく知っており、これはアイとは別の視点から二人を見守ってきた存在でなければ不可能です。残念ながら、アイが転生してツクヨミになったという説は成立しません。
看護師の転生説
ゴローと一緒にアイを担当していた看護師が転生したのではないか、という説も一時期話題になりました。確かに看護師であれば、ゴロー、さりな、アイの三者について知っていてもおかしくはありません。しかし、この説にも大きな問題があります。まず、その看護師がいつ死亡したのかという明確な描写が作中に一切ありません。また、看護師のキャラクター自体が物語の中で重要な役割を果たしておらず、いきなり「実はツクヨミでした」と言われても物語上の必然性が感じられません。何より、小説版で明かされた「格式高い社家に生まれた」という設定とも矛盾します。普通の看護師が社家の秘術を使えるはずがないからです。
単なる神様説
「ツクヨミは人間ではなく純粋な神様である」という説も、現在では否定的に捉えられています。この説の最大の弱点は、ツクヨミが映画『15年の嘘』に子役として出演している事実です。日本の労働基準法や児童福祉法上、実在しない存在を子役として雇用することは不可能です。保護者の同意、労働許可、給与の支払いなど、様々な法的手続きが必要になります。さらに小説版で「オカルトの世界に籍を置く、格式高い社家に生まれた存在」と明記されたことで、彼女が実在する人間であることが確定しました。ツクヨミは神の名を持ち、神のような力を使いますが、その本質は人間なのです。ただし、何世代にもわたって記憶を継承してきた特殊な人間であり、もはや通常の人間の概念では捉えきれない存在であることは確かです。
ツクヨミの全登場シーンを時系列で完全整理

ツクヨミの行動を理解するには、彼女の登場シーンを時系列で追うことが重要です。それぞれのシーンに込められた意味を読み解いていきましょう。
8巻75話:カラスとともに初登場したシーン
ツクヨミの初登場は単行本8巻75話、高千穂町の大きな木の下でした。多数のカラスに囲まれた彼女は「真の意味で母を得られなかった2人と魂の無い子を産んだ母親を導いてあげた」と独白します。この発言は、ゴローが母を早くに亡くし、さりなが両親に見放されていたこと、そしてアイの双子が本来は死産するはずだったことを示唆しています。初登場時から物語の核心に触れる重大な情報を開示しており、彼女が単なる脇役ではないことが明確に示されました。
8巻79話:ルビーにゴローの遺体を発見させた真意
高千穂町でのMV撮影中、カラスが宿の鍵を奪ってルビーを誘導します。カラスを追いかけたルビーがたどり着いたのは、ゴローの白骨化した遺体でした。ショックを受けるルビーの前に現れたツクヨミは、「あたし……お姉ちゃんが知りたい事を知ってるよ?」と語りかけ、ゴロー殺害の現場にいた「大学生位の男と中学生位の男の子」の存在を教えます。このシーンでツクヨミは意図的にルビーを闇堕ちさせており、彼女の行動原理が「推しのやりたいことを応援する」という歪んだ全肯定であることが示唆されました。
12巻118話:アクアとの接触で明かされた星野アイの魂の行方
単行本12巻118話で、ツクヨミはアクアと直接対話します。アクアが「アイは今どこにいる?」と尋ねると、ツクヨミは「もうどこにも居ない。星野アイという人の魂はとうの昔に霧散して もう二度と再形成されることはない」と告げました。この残酷な真実は、アクアが抱いていた「いつかアイに会えるかもしれない」という希望を完全に打ち砕きます。ツクヨミはアクアの復讐心を後押しするかのように、あえて絶望的な事実を伝えたのです。
13巻123話:「それは悪手だよ」発言の意図
アクアが自身の転生前の正体をルビーに明かし、お互いが「ゴロー」と「さりな」だったと分かり合うシーンは、物語の重要な転換点でした。しかしツクヨミはこれを「それは悪手だよ」「嫌われたままの方が楽だったのに」と否定的に評価します。彼女の視点では、アクアとルビーが真実を共有することは、むしろ二人を苦しめる選択だったのです。この発言の真意については様々な解釈が可能ですが、ツクヨミが二人の未来をある程度予測していた可能性を示唆しています。
13巻127話:アクアからの映画出演オファー
アクアとの接触シーンで、ツクヨミは自身に親がいることを明かします。これにより彼女が完全な超常的存在ではなく、人間の器に何かが宿っている存在だと示唆されました。するとアクアは突如「映画に出てくれないか」とオファーを持ちかけます。最初は拒否反応を示したツクヨミでしたが、アクアに「実力無いので出来ません。ごめんなさいって言えよ」と煽られると、プライドを刺激されて「出来るしなめんな」と応じてしまいました。この展開は、ツクヨミの煽り耐性の低さと、彼女もまた感情的になる人間的な側面を持つことを示しています。
13巻128話:芸名「ツクヨミ」を名乗った瞬間
映画『15年の嘘』への出演が決まったツクヨミは、正式に「ツクヨミ」という芸名を名乗り始めます。これまで読者にとっては仮称でしかなかった「ツクヨミ」が、作中でも公式な名前として扱われるようになった重要な瞬間です。彼女がこの名を選んだのは、単なる偶然ではなく、自身のアイデンティティを表明する行為だったのでしょう。
144話:ルビーに煽られてブチギレするシーン
映画撮影が順調に進む中、ルビーがツクヨミに「なんか偉そうに色々言うけど、来週出番あるよね?ちゃんと出来るの?」と挑発します。これにツクヨミは「なめんな、出来るし」と激怒しました。アクアに続きルビーにも煽られてしまう彼女の姿は、神秘的な存在というより、普通の子供のようにも見えます。この人間臭さが、ツクヨミというキャラクターの魅力の一つとなっています。
145話:カラス時代の記憶が蘇る重要回
映画撮影でアクアとルビーの子ども時代を演じたツクヨミは、過去の記憶を鮮明に思い出します。そこに描かれたのは、網に絡まったカラスを助ける天童寺さりなと雨宮ゴローの姿でした。このシーンにより、ツクヨミ(あるいは先代ツクヨミ)とゴロー・さりなの繋がりが明らかになり、彼女が二人を「推し」として見守ってきた理由が判明しました。145話は『推しの子』という物語全体の謎を解く鍵となる、極めて重要なエピソードです。アニメ第3期でこのシーンがどう描かれるか、ファンの期待は高まるばかりです。
ツクヨミの行動原理を徹底考察

ツクヨミの行動には一貫したパターンがあります。それは「推しの意思を尊重し、やりたいことを全力で応援する」という、ある意味で歪んだ全肯定の姿勢です。
なぜルビーを闇堕ちさせる情報を与えたのか
高千穂町でツクヨミはルビーにゴローの遺体を発見させ、さらに殺害に関与した人物の情報まで与えました。この行為は明らかにルビーを復讐の道へと誘導するものです。なぜツクヨミはそんなことをしたのでしょうか。答えは「それがルビーの望みだったから」です。ルビーは無意識のうちにゴローの真実を知りたがっていました。前世での大切な存在であるゴローに何が起きたのか、その答えを求める気持ちがルビーの中にあったのです。ツクヨミはその潜在的な欲求を察知し、情報を提供しました。結果としてルビーは闇堕ちしましたが、ツクヨミにとってそれは「推しが自分の意志で選んだ道」であり、応援すべきことだったのです。
「全肯定オタク」としてのツクヨミの危うさ
ツクヨミはアクアとルビーが何をしようとも、それを肯定し応援します。たとえそれが自滅的な行動であっても、危険な選択であっても、彼女は止めません。なぜなら「推しのやりたいことに干渉してはいけない」と考えているからです。しかし、これは本当に正しい愛情の形なのでしょうか。真に相手を思うなら、時には厳しく諫めることも必要です。ツクヨミの全肯定は、一見優しく見えて実は無責任とも言えます。彼女は「見守る」という名目で、アクアとルビーが破滅へと向かうのを傍観しているだけなのかもしれません。
アクアの復讐を止めなかった理由
ツクヨミはアクアの復讐計画を知っていながら、それを止めようとしませんでした。それどころか、カミキを海中に引きずり込む手(ダークゴロー)や、アクアの遺体を綺麗に保つなど、復讐を手助けするような行動さえ取っています。なぜ彼女はアクアを止めなかったのでしょうか。理由は明白です。「それがアクアの望みだったから」。アクアは復讐を完遂し、その代償として自らの命を差し出すことを選びました。ツクヨミはその選択を尊重し、全力でサポートしたのです。たとえアクアが死ぬとしても、それが本人の意志である限り、ツクヨミは介入しません。この姿勢は、ある種の狂気とも言えるでしょう。
ツクヨミの正体に関するよくある質問

『推しの子』ファンの間でよく議論される、ツクヨミに関する疑問にお答えします。
結局ツクヨミは神様なの?人間なの?
結論から言えば、ツクヨミは「人間」です。小説版『二人のエチュード』で「格式高い社家に生まれた」と明記されており、実在する人間であることが確定しています。ただし、普通の人間ではありません。彼女は代々神社に仕える社家の血筋に生まれ、「ツクヨミ」という神の役割を与えられた存在です。さらに、先代ツクヨミから記憶を継承しているため、何世代もの知識と経験を持っています。つまり、人間の肉体を持ちながら、神のような力と記憶を宿した特殊な存在──それがツクヨミなのです。彼女は「人間」と「神」の境界線上に立つ、『推しの子』世界における独特の存在と言えるでしょう。
ツクヨミの本名は最後まで明かされないの?
原作が完結した現時点でも、ツクヨミの本名(人間としての戸籍名)は明かされていません。これは意図的な演出だと考えられます。ツクヨミにとって、個人の名前は重要ではないのです。彼女は「ツクヨミ」という役割そのものであり、個人的なアイデンティティは二の次とされています。社家の世界では、神の名を背負うことが最優先であり、個人名は意味を持たないのでしょう。また物語上も、ツクヨミの本名を明かさないことで、彼女の神秘性が保たれています。もし本名が「田中花子」などという普通の名前だったら、キャラクターの持つ超常的な雰囲気が損なわれてしまうかもしれません。
カラスと少女はどちらが本体なの?
これは非常に興味深い質問です。145話の回想シーンを見る限り、元々はカラスが先代ツクヨミの依代(意識を憑依させる器)だったようです。しかし、先代ツクヨミが亡くなった後、その記憶は人間の赤子に植え付けられ、現在の少女の姿のツクヨミが誕生しました。つまり、「カラス時代の記憶を持つ人間」が本体ということになります。ただし、ツクヨミは今でもカラスを自在に操り、カラスに意識を憑依させることができるようです。したがって、「少女が本体だが、必要に応じてカラスにも意識を移せる」というのが正確な理解でしょう。彼女にとって、人間の姿もカラスの姿も、どちらも自分自身なのかもしれません。
アニメ第3期は原作のどこまで描かれる?
アニメ第3期では、ツクヨミの重要なシーンが多数描かれると予想されます。特に145話のカラス過去編や、映画『15年の嘘』撮影シーンは見どころとなるでしょう。第3期の範囲がどこまでかは公式発表待ちですが、おそらく映画編を中心に構成され、ツクヨミの正体に迫る重要なエピソードが含まれるはずです。アニメでツクヨミの声を演じる声優が誰になるのかも、ファンの間で大きな関心事となっています。
【推しの子】ツクヨミの正体まとめ

『推しの子』における最大の謎の一つ、ツクヨミの正体について、様々な角度から考察してきました。最後に重要なポイントをまとめておきましょう。
ツクヨミは格式高い社家に生まれた実在する人間であり、代々「ツクヨミ」という神の役割を継承してきた特殊な存在です。先代ツクヨミの記憶を受け継いでおり、カラス時代にゴローとさりなに助けられたことが、彼女の行動原理の根幹となっています。二人への恩返しとして、死後の彼らの記憶をアイの双子に植え付け、アクアとルビーという新しい人生を与えました。
その正体については複数の説が存在します。日本神話の月読命説は、死と再生を司る神としての性質と合致します。芸能の神・天鈿女命説は、作品のテーマである芸能界と深く関連しています。導きの神・八咫烏説は、常にカラスを従えている描写と符合します。そして最も有力なのが、社家に生まれた人間説です。小説版で明かされた情報により、彼女が超常的な力を持つ人間であることが確定しました。
ツクヨミの行動原理は「推しの意思を全肯定する」という、ある意味で危うい愛情です。アクアとルビーがどんな選択をしようとも、それを尊重し応援する姿勢は、時に二人を破滅へと導きかねません。彼女の善意による転生が結果的に悲劇を生んだという見方もあり、「諸悪の根源」という指摘すらあります。
アニメ第3期では、ツクヨミの重要なシーンが数多く描かれることでしょう。145話のカラス過去編、映画撮影シーン、そして彼女の真の目的が明かされる瞬間──原作ファンにとっても、アニメから入った視聴者にとっても、ツクヨミというキャラクターは『推しの子』という作品を理解する上で欠かせない存在です。
ゼンシーア 
