『Dr.STONE』に登場する西園寺羽京は、「聴力チート」と呼ばれる驚異的な聴覚能力と卓越した弓術で多くのファンを魅了するキャラクターです。石化前は自衛隊のソナーマンとして訓練を積み、その経験が彼の超人的な聴力の基盤となっています。
司帝国No.3の実力者として登場した彼は、「誰も殺したくない」という強い信念を持ち、物語の重要な局面で幾度となく活躍しています。クロム捕獲時の意図的に「当たらない」狙撃や、千空との電話越しの交渉など、印象的な名シーンの数々で、彼の能力と不殺の姿勢は作品の魅力を一層引き立てています。
本記事では、そんな西園寺羽京の能力と活躍に迫ります。
西園寺羽京のプロフィール

『Dr.STONE』に登場する西園寺羽京(さいおんじ うきょう)は、一見すると童顔でかわいらしい外見ながら、「聴力チート」と呼ばれる驚異的な聴覚能力と優れた弓の腕前を持つキャラクターです。身長173cmの20歳前後の青年で、声を小野賢章さんが担当しています。名前は「右京」と間違われがちですが、正式には「羽京」です。作中では司帝国の重要人物として登場し、その後の展開でも重要な役割を果たしています。彼の特殊な能力と平和主義的な姿勢は、多くのファンから支持される理由となっています。
司帝国No.3の実力者
西園寺羽京は、司帝国において司と氷月に次ぐナンバー3の実力者として位置づけられています。単行本9巻、73話で初登場した彼は、主に司帝国周辺の監視役を任されており、その優れた聴覚能力と弓術によって司から厚い信頼を得ていました。
彼の任務は石神村からの侵入者を察知して捕らえることでした。作中では、偵察に来たクロムを捕獲するシーンが印象的です。司帝国の中でも、司が目指す強者だけの世界という思想に疑念を抱きながらも、表面上は忠実に任務をこなしていました。しかし、彼の内に秘められた葛藤は、後の重大な決断につながっていきます。
元自衛官・ソナーマン
西園寺羽京は石化前、日本の自衛隊で潜水艦のソナーマン(水測員)として勤務していました。この経験が彼の「聴力チート」と称される驚異的な聴力の基盤となっています。潜水艦内で微細な音を聞き分ける訓練を積んだことで、通常の人間では捉えられない音も感知できるようになりました。
彼の能力は単に音を聞くだけにとどまらず、音の方向や距離を正確に把握し、視覚に頼らずとも相手の位置を特定できるほどです。また、英語も堪能で、少ない情報から論理的に推論を組み立てる洞察力も持ち合わせています。ソナーマンとしての専門知識と経験は、石化後の世界でも彼の大きな武器となっています。
不殺の信念を持っている
西園寺羽京の人物像を最も特徴づけているのは「誰も殺したくない」という強い信念です。自衛官という職業柄、生命の尊さを強く意識していた彼は、司帝国内で石化した人々の破壊が行われていることに葛藤を抱いていました。
彼は自分自身を「卑怯者」と評しており、復活者同士の殺し合いを避けるために司の行為を黙認していた過去があります。しかし、千空が「破壊された石像を含めた人々を全て修繕し、復活させる」という不殺の誓いを立てていることを知り、強く感銘を受けます。電話越しの会談で涙ながらに「ありがとう」と告げるシーンは、彼の人間性を象徴する名場面です。
「目の前の誰にも死んでほしくないだけなんだ」という彼の言葉は、混沌とした石化後の世界における彼の立ち位置を明確に表しています。この信念が後の重大な決断や、銃の使用に反対する姿勢など、作品全体を通した彼の行動原理となっています。
羽京の弓の腕前

西園寺羽京の特徴的な能力の一つが、その驚異的な弓の腕前です。彼が武器として弓矢を選んだのは、不殺の信念を持つ彼にとって、相手を殺さずとも制圧できる最適な武器だったからでしょう。自衛隊での訓練経験を持つ羽京は、通常の弓道とは異なる、まるで狙撃銃のような使い方で弓を操ります。司帝国での監視役に抜擢されるほどの腕前は、作中でも屈指の弓使いとして描かれています。その技術は単なる命中精度だけでなく、様々な状況に対応する柔軟性も兼ね備えているのです。
特殊な狙撃能力と高い命中精度
羽京の弓の技術で最も特筆すべきは、超人的な命中精度と聴覚能力を組み合わせた独自の狙撃スタイルです。通常の弓術では視覚情報が主体となりますが、羽京は自身の「聴力チート」を活かし、音だけを頼りに敵の位置を特定して狙撃することができます。
初登場シーンでは、クロム、ゲン、マグマの三人が司帝国に侵入した際、破壊された岩盤の音だけを聞いて彼らの位置を特定し、追い詰めていきました。さらに煙幕が張られた視界不良の状況でも、音を頼りに正確な狙撃を行う能力は圧巻です。
この能力の凄さは、単に矢を的に当てられるというだけではありません。距離感覚や風の影響、環境要因などを瞬時に計算し、正確に矢を放つことができるのです。さらに、彼の場合は視覚に頼らずとも音だけでこれが可能というのは、まさに「チート級」の能力と言えるでしょう。
作中では宝島編でも、緊迫した状況下での正確な狙撃シーンが描かれており、彼の技術が単なる平時の腕前ではなく、あらゆる状況で発揮できる真の実力であることを示しています。
意図的に「当たらない」という離れ業
羽京の弓の腕前でもう一つ驚くべきは、意図的に「当たらない」という離れ業です。これは彼の弓の腕前が良すぎるからこそできる技術であり、不殺の信念を持つ彼のキャラクター性を象徴する能力でもあります。
クロムを捕獲するシーンでは、見えていないにもかかわらず、ギリギリ当たらない場所を的確に弓で射抜いていました。この技術により、クロムは「羽京は害意がない」と判断し、抵抗せずに降参することを選択したのです。数センチのずれで致命傷にもなりうる状況で、これほどの精密制御ができることは、彼の弓術が単なる命中精度だけでなく、矢の軌道を完全に支配できるレベルにあることを示しています。
この「当てない技術」は、相手を威嚇・制圧するため、殺さずに捕獲するため、また自分の意図を伝えるためのコミュニケーション手段としても機能しています。不殺の戦士である羽京にとって、この技術があるからこそ、戦闘員として任務を全うしながらも自らの信念を貫くことができているのです。
実際の弓道との比較分析
羽京の弓の使い方を現実の弓道や狙撃技術と比較すると、いくつかの興味深い違いが見えてきます。
現実の弓道は八節十二動作の型に基づく所作があり、形から入って精神性を重視する武道です。一方、羽京の弓術は実用性に特化しており、伝統的な型にはこだわらない実戦的なスタイルを取っています。
また、実際の弓による狙撃では、風や距離による矢道のずれを計算する必要があり、距離が離れるほど指数関数的に難しくなります。通常、聴覚は狙撃において補助的な役割しか果たしませんが、羽京の場合は聴覚情報を主として狙撃することができるという点で、現実の狙撃とは大きく異なります。
特に「意図的に外す」技術は、実際の弓術では極めて高度な技術とされ、多くの場合は的中させることすら難しい中で、意図的に「ギリギリ外す」という制御は、現実世界では達人中の達人でさえ困難でしょう。
『Dr.STONE』の世界観では、科学的原理に基づきつつも物語として誇張されている要素はありますが、羽京の弓の腕前は作品内でも特別な才能として描かれています。現実には存在しない「聴力チート」という特殊能力と組み合わさることで、他の弓使いキャラクターとも一線を画す独自の魅力を放っているのです。
羽京の聴力チートがもたらす驚異的な能力

西園寺羽京の最大の特徴とも言えるのが、作中で「聴力チート」と呼ばれる驚異的な聴覚能力です。一般人の何倍もの精度と感度を持つ彼の聴力は、単なる「耳がいい」というレベルを遥かに超え、ほぼ超能力的な領域に達しています。この特殊能力は、石化前に潜水艦のソナーマンとして培った専門的な技術と、元々の素質が組み合わさったものとされています。羽京のキャラクター性を象徴するこの能力は、物語の重要な局面で幾度となく物語の展開を左右する重要な役割を果たしています。
音だけで位置を特定する超能力的聴覚
羽京の聴力チートの最も驚異的な側面は、音だけを頼りに対象の正確な位置を特定できる能力です。通常、人間の聴覚は両耳に届く音の時間差や強度差から大まかな方向を判断することはできますが、羽京の場合はその精度が桁違いです。
作中で特に印象的なのは、クロム、ゲン、マグマの三人が司帝国に侵入した際のシーンです。マグマが破壊した岩盤の音だけを聞いて、羽京は彼らの正確な位置を特定し、追跡することに成功しました。さらに驚くべきことに、煙幕の中や障害物越しでも音を頼りに対象を追跡できるのです。
この能力は単に方向を知るだけでなく、音の微妙な違いから距離や状況まで判断できます。例えば足音の大きさやパターンから相手の体格や動きの速さを推測したり、周囲の音の反響から空間の広さや形状を把握したりすることも可能です。
科学的に考えると、通常の人間が聞き取れない微細な音も捉え、脳内で複雑な音の反響パターンを瞬時に処理していると考えられます。これは『Dr.STONE』の世界観において、現実の科学に基づきながらも、キャラクターの個性として誇張された特殊能力の一つと言えるでしょう。
元ソナーマンとしての専門スキル
羽京の聴力チートの背景には、石化前に彼が潜水艦のソナーマン(水測員)として働いていた経験があります。ソナーマンとは、潜水艦で音響探知装置(ソナー)を操作し、海中の音を解析して敵潜水艦や障害物を検知する専門職です。
この職業では、海中の複雑な音の中から必要な情報だけを選別し、分析する高度な能力が求められます。羽京はこの訓練により、微細な音の違いを識別する能力、音のパターンから対象を特定する能力、そして不要な音(ノイズ)の中から重要な情報を抽出する能力を磨き上げたのです。
実際のソナー技術には「受動型ソナー」と「能動型ソナー」の二種類があります。受動型は外部の音を受信して分析するシステムで、能動型は音波を発して反響で物体を探知するシステムです。羽京の能力は、まさに人間版の「受動型ソナー」のように機能していると言えるでしょう。
このソナーマンとしての経験は単に聴覚を鍛えただけでなく、彼の冷静な判断力や集中力、そして状況分析能力にも大きく影響していると考えられます。そのため羽京は戦闘だけでなく、情報収集や分析においても重要な役割を果たしているのです。
電話越しでもリリアンのモノマネを見破る
羽京の聴力チートの凄さを示す象徴的なエピソードが、電話越しでゲンのリリアン・ワインバーグのモノマネを即座に見破ったシーンです。
当時、千空たちは米国の人気歌手リリアンの歌声で司帝国の兵士たちを味方に引き込む作戦を実行していました。リリアンの熱狂的ファンであるニッキーの指導のもと、ゲンは完成度の高いリリアンのモノマネを披露していました。しかし、この作戦の最大の懸念点が羽京の存在でした。
実際、羽京は「こちらはリリアン・ワインバーグです」という挨拶だけで、電話越しにもかかわらず瞬時にゲンの正体を見破ってしまいます。しかし同時に、流ちょうな英語で会話することで周囲の人間には気づかれないよう対応し、結果的に千空側に協力する道を選びました。
この能力は単に声の大きさや高さを聞き分けるだけでなく、声紋とも言える声の微細な特徴まで識別できることを示しています。さらに、英語の発音の微妙な違いを捉える言語能力の高さも垣間見えます。
このエピソードは物語の重要な転換点となり、羽京が千空側に寝返る伏線となりました。そして彼の聴力チートが単なる戦闘能力ではなく、物語の展開にも大きく関わる重要な要素であることを示しています。
聴力×弓の組み合わせが生む独自戦闘スタイル
羽京の最大の武器は、卓越した聴力と弓術を組み合わせた独自の戦闘スタイルです。この組み合わせにより、通常の戦士にはない独特の戦闘能力を発揮しています。
基本的な戦術は、聴覚で敵を感知し、弓で狙撃するというシンプルなものです。しかし、その実践においては驚くべき特性があります。まず、直接視界に入らない敵でも攻撃することが可能です。煙幕の中や障害物の陰に隠れた敵でも、音を頼りに正確に位置を特定し、弓で狙撃できるのです。
クロム捕獲シーンでは、音だけを頼りに煙幕の中からクロムたちを追い詰め、奇跡の洞窟の戦いや宝島編でも、この独自の戦闘スタイルを存分に発揮しました。
この戦術には明確な優位性があります。暗闇や煙幕などの視界不良環境でも効果的に戦えること、背後からの接近も音で察知できるため不意打ちが難しいこと、そして接近戦を避け、得意な遠距離から戦闘が可能なことです。
さらに、この戦闘スタイルは不殺の信念を持つ羽京のキャラクター性とも完全に一致しています。弓という武器は致命傷を与えずに制圧することが可能で、聴覚による先読みと組み合わせることで、相手を殺すことなく戦うという彼の理想を実現できるのです。
このように、羽京の聴力チートと弓術の組み合わせは、単なる戦闘能力を超えて、彼のキャラクター性や物語における役割を象徴する重要な要素となっています。それは『Dr.STONE』という作品の中でも特に独創的で魅力的な設定の一つとして、多くのファンを魅了しています。
西園寺羽京の名シーン7選

西園寺羽京の驚異的な弓の腕前と聴力チートが最も輝くのは、物語の重要な局面での数々の活躍シーンです。初登場から最終章に至るまで、彼の特殊能力は物語展開の鍵となり、多くのファンの印象に残る名シーンを生み出してきました。ここでは、羽京の弓と聴力が活躍する特に印象的な7つの場面をピックアップし、彼のキャラクター性や物語への影響とともに紹介します。不殺の信念とともに戦う彼の姿は、『Dr.STONE』の中でも特に魅力的なキャラクターの一面を見せています。
クロムたちを弓で追い詰めるシーン
羽京の初登場は、彼の能力の凄さを一気に示すインパクトのあるシーンでした。クロム、マグマ、ゲンの三人が司帝国に侵入し、「千空の墓」に携帯電話を埋めようとしていたところ、マグマが邪魔な岩盤を破壊した音を聞きつけた羽京が現れます。
このシーンで特筆すべきは、羽京が破壊された岩盤の音だけを頼りに三人の位置を正確に特定し、弓で追い詰めていった点です。さらに煙幕が張られた視界不良の状況でも、音を頼りに正確な追跡を続けました。クロムの気転によりマグマとゲンは逃げることができましたが、最終的にクロムは捕獲されます。
ここで重要なのは、羽京がクロムに対して意図的に「当たらない」ように弓を放ったことです。この行動によりクロムは「羽京は害意がない」と判断し、降参を選択しました。実は羽京はこの時点で既に司帝国に対して疑念を抱いており、このシーンは彼の不殺の信念と優れた能力の両立を示す最初の伏線となったのです。
千空との電話越し交渉シーン
クロムを捕獲した後、千空たちが完成させた携帯電話を通じて司帝国と連絡を取るシーンも、羽京の能力と人間性を強く印象づける名場面です。
千空側は、ゲンがリリアン・ワインバーグのモノマネをすることで司帝国の人々を味方につける計画を立てていました。しかし羽京は「こちらはリリアン・ワインバーグです」という挨拶だけで、電話越しにもかかわらず即座にゲンの正体を見破ってしまいます。そして流ちょうな英語で会話することで、周囲の人間には気づかれないよう対応しました。
この通話の中で千空は「全員を生き返らせる。壊された石像も回収して直して、全ての人間を復活させる」という不殺の誓いを伝えます。これを聞いた羽京は「そんな狂気の沙汰を…ありがとう」と涙ながらに感謝します。
このシーンは、羽京が千空側に心を動かされる決定的な瞬間であり、不殺の信念を共有する仲間との出会いが彼にとっての転機となりました。クロム捕獲時の「害意のなさ」の理由も、ここで明らかになったのです。
司帝国裏切りの決断シーン
千空との電話交渉後、羽京は司帝国への不信感を強め、ついに裏切りを決断します。司の石化人間破壊を黙認してきた自身への罪悪感もあり、クロムの脱走を助け、千空側に情報を提供することを選びました。
「不殺の誓い」に共感した羽京は、自身の弓と聴力を活かして千空側への協力を申し出ます。「目の前の誰にも死んでほしくないだけなんだ」という言葉には、彼の本心が込められています。自分を「卑怯者」だと自認しながらも、本当の信念に従って行動する決断は、彼のキャラクターの大きな転機となりました。
この裏切りにより、司帝国内では裏切り者として認識されることになりますが、羽京にとっては内面的な葛藤から解放され、真の信念に従う道を選んだ瞬間でした。彼の情報提供により、千空側の作戦は大きく進展し、物語の展開にも重要な影響を与えることになります。
奇跡の洞窟での決戦での活躍
STONE WARS編のクライマックスとなる奇跡の洞窟(硝酸の洞窟)での決戦は、羽京の能力が本格的に活かされた重要なシーンです。千空たちが洞窟を制圧しようとする中、司と氷月という圧倒的な強敵が立ちはだかります。
この激戦で羽京は、聴力と弓を使って敵の動きを察知し、仲間に情報提供する重要な役割を担いました。司と氷月の圧倒的な力に対抗するため、チームの一員として全力を尽くし、自分の命が危ない状況でも千空たちに協力し続けます。
戦闘中も不殺の信念を貫き、致命傷を与えない戦い方を選んだ羽京。聴覚情報を仲間に共有し、全体の戦略に貢献するなど、彼の能力は単独での戦闘だけでなく、チームワークの中でこそ真価を発揮しました。
このシーンは羽京が完全に千空側の一員として戦う姿を示すとともに、実際の戦闘での聴力と弓の有効性を証明する重要な場面となりました。STONE WARS編という物語のターニングポイントでの活躍は、羽京のキャラクターとしての確立を決定づけたのです。
銃の使用に反対する平和主義者としての姿
宝島編において、千空が銃を開発するというシーンでは、羽京の平和主義者としての側面が強く描かれています。不殺の信念を持ち、殺傷力の高い武器に抵抗がある彼は、銃の開発に対して反対の意見を述べます。
「綺麗ごとであるとわかっていながらも、ギリギリまで銃を使わないでほしい」と訴える羽京に対し、龍水は「誰も殺さない、殺させないための力であり、敵すらも手に入れるための合理的判断」だと説明します。また千空も「突貫工事で造った銃は人を殺せるほどの威力はない」と説得しました。
説得を受け入れつつも、最後まで懸念を示す羽京の姿勢は、初登場から一貫して持ち続ける不殺の信念の表れです。このシーンは、Dr.STONEの主題である科学の使い方についての問いかけでもあり、理想と現実の間での葛藤を示す重要な場面となっています。
弓という武器を使いながらも、より殺傷力の高い武器に反対する彼の姿勢は、「武器」と「殺傷」を完全に切り離して考えられない現実の中での葛藤を象徴していると言えるでしょう。
宝島編での緊迫の狙撃シーン
宝島での戦いの中で、羽京は緊迫した状況下での狙撃シーンを見せます。イバラ、モズ、キリサメなどの強敵との戦いの中で、移動する目標、悪天候など厳しい条件下でも、聴力と弓術の連携による正確な狙撃を披露しました。
ここでの彼の狙撃は、仲間を守るための行動であり、致命傷は避けながらも高い命中精度で戦況を有利に進めるという、彼のスタイルを貫いたものでした。極限状況でも冷静さを保ち、刻々と変わる状況の中で最適な判断を下す姿は、まさに熟練の狙撃手としての側面を強く印象づけます。
このシーンでは、他の仲間との連携も重要で、チームワークの中での彼の役割が明確に示されています。司帝国時代からさらに成長した戦闘力と判断力は、宝島編という物語の重要な局面を左右する要素となりました。
危機を聴力で察知し仲間を救うシーン
物語全体を通じて、羽京は通常では気づけない危機を聴力で察知し、仲間を救う場面が複数あります。敵の接近、崩落の予兆、罠の作動音など、通常人には聞こえない微細な音から危険を察知し、仲間たちに警告を発するのです。
特に印象的なのは、192話付近でのスタンリーの狙撃を事前に察知して回避行動を取ったシーン、宝島での罠を音で察知して仲間に警告したシーン、そして周囲が気づかない接近者の存在を察知したシーンなどです。
これらのシーンでは、羽京の聴力が攻撃だけでなく、防衛・保護能力としても重要であることが示されています。自分の能力を仲間の安全のために使う姿勢は、彼の仲間思いな性格を表すとともに、羽京の警告に即座に反応する仲間たちとの信頼関係も感じさせます。
危機を察知する能力は、戦闘においても日常においても非常に価値が高く、羽京がチームの中で欠かせない存在である理由の一つとなっています。彼の聴力チートは、単なる戦闘能力を超えて、チーム全体の安全を守るセーフティネットとしての役割も担っているのです。
西園寺羽京に関するよくある質問

西園寺羽京は『Dr.STONE』の中でも特に謎めいた部分を持つキャラクターです。そのため、多くのファンから様々な疑問が寄せられています。ここでは、羽京に関して特によく質問される内容についてまとめました。アニメのみを視聴している方から原作を読破した方まで、気になる疑問の答えを見つけてみてください。
西園寺羽京は最終回で生き残っているの?
結論から言うと、西園寺羽京は最終回でも無事に生き残っています。ただし、物語の中では何度か死の危機に瀕することがありました。
宝島編では2度石化させられる危機に陥りましたが、無事に復活しています。また、単行本22巻・第192話ではスタンリーに狙撃され、一時は生死不明となりましたが、その後の展開で千空が「全世界を石化させる」という策略を実行した際に羽京も石化。この石化の特性が致命傷を治癒する効果を持っていたため、結果として一命を取り留めることができました。
『Dr.STONE』の世界では、石化が人体を修復する機能を持つため、羽京は実質的には何度か「死亡」していますが、石化と復活のプロセスを経て最終的には生き延びています。最終回(232話)では、人類が完全に復興した世界で他のキャラクターたちと共に平和に暮らしている姿が描かれています。
羽京の弓はどのような特徴があるの?
羽京の弓は、外見上はシンプルな長弓型で、石化世界の原始的な素材で作られたものと思われます。特別な装飾や機構は描かれておらず、身長に合わせた標準的なサイズの弓として描写されています。
性能面では、通常の弓と比べて特別な機能があるわけではなく、羽京の卓越した技術によって高い精度を実現しています。彼が弓を選んだ理由の一つは、殺傷力を調整できることにあります。矢の速度や命中位置を精密にコントロールすることで、致命傷を避けつつ相手を制圧するという、彼の不殺の信念に合致した武器なのです。
弓の入手経緯や製作者については作中で明確に言及されていませんが、司帝国時代に入手したか、自作した可能性が高いでしょう。また、自衛隊時代の訓練との関連性も示唆されますが、詳細は明らかにされていません。物語を通して常に彼のトレードマークとして描かれ、不殺の信念を体現する象徴的な武器となっています。
羽京の聴力はなぜあんなに優れているの?
羽京の驚異的な聴力は、石化前に潜水艦のソナーマン(水測員)として働いていた経験に起因します。作中で「聴力チート」と呼ばれるこの能力は、元々の素質に加え、専門的な訓練で極限まで高められたものです。
ソナーマンとは、潜水艦で音響探知装置(ソナー)を操作し、海中の微細な音を解析して敵潜水艦や障害物を検知する専門職です。この職業では、複雑な海中音から必要な情報だけを選別し、分析する高度な能力が求められます。羽京はこの訓練により、微細な音の違いを識別する能力、音のパターンから対象を特定する能力、ノイズの中から重要情報を抽出する能力を磨いたと考えられます。
科学的に見ると、羽京の能力は通常の人間の聴覚処理能力を超え、音の情報を脳内で高度に処理して空間認識に変換しています。実際のソナー技術で言えば、「受動型ソナー」のように機能していると言えるでしょう。ただし、『Dr.STONE』の世界観では科学的原理に基づきながらも、物語として誇張された特殊能力として描かれています。
羽京関連のグッズや公式イラストは入手できる?
西園寺羽京関連のグッズは、『Dr.STONE』の公式グッズラインナップの一部として発売されています。アクリルスタンド、キーホルダー、缶バッジなどの一般的なグッズが主流で、アニメイトやジャンプショップなどのアニメショップで購入できます。
公式イラストについては、Boichi先生による原作イラストやアニメ版のキャラクターデザイン・設定画などがあり、『Dr.STONE』の公式イラスト集や設定資料集に収録されています。これらは書店やアニメグッズショップで入手可能です。
最新のグッズ情報は、Dr.STONE公式サイトや公式Twitter、ジャンプ公式SNSなどで確認できます。オンラインでの購入は、バンダイナムコグループ公式通販サイト「プレミアムバンダイ」などが便利です。
人気キャラクターのため、発売後すぐに売り切れることもあるので、確実に入手したい場合は予約がおすすめです。また、販売終了したグッズは中古市場で探すことも可能です。アニメの新シリーズ放送時には新グッズも発売される可能性が高いので、定期的にチェックしてみるとよいでしょう。
【Dr.STONE】西園寺羽京の弓の腕前とチート聴力まとめ

西園寺羽京という一人のキャラクターを通して、『Dr.STONE』は科学と原始的技術の融合という作品テーマを見事に体現しています。元自衛隊のソナーマンという現代的背景と、弓という古典的武器の組み合わせ。超人的な聴覚能力と高精度の弓術。そして何より、「誰も殺したくない」という強い信念を貫く姿勢。これらすべてが組み合わさって、羽京は単なる弓使いキャラクターとは一線を画す独自の魅力を放っています。クロムとの初対面から最終回に至るまで、重要な局面で物語を動かしてきた彼の活躍は、アニメ第4期「SCIENCE FUTURE」でもさらに描かれていくことでしょう。視覚ではなく聴覚を武器にする彼の独創的な戦い方と、内面的な葛藤を抱えながらも自分の信念に従って生きる姿は、多くのファンの心を捉えて離さない理由です。羽京の成長と活躍を追いかけることで、『Dr.STONE』という作品の新たな魅力を発見できるかもしれません。