スティールボールランのアブドゥルとは?基本プロフィールを解説
『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』(以下SBR)は、北米大陸横断レースという壮大な舞台に世界中から3,852名もの選手が集まる物語です。その中でも読者の目を引くのが、ウルムド・アブドゥルという人物です。登場シーンこそわずかながら、彼の存在感は忘れがたいですよね。「このキャラ、3部で見たことある…!」――そんな第一印象を抱いたファンも多いのではないでしょうか。まずはアブドゥルとはいったい何者なのか、基本プロフィールからさっそく見ていきましょう!
エジプト出身のラクダ乗りで優勝候補に挙げられるほどの実力者
ウルムド・アブドゥルは、エジプトのサハラ砂漠を年に3回横断するというラクダ乗りの達人です。SBRレースの主催者スティーブン・スティール自身が「優勝候補の一人」として名前を挙げるほど、その実力はレース関係者にも広く知られていました。
彼の戦略は豪快の一言に尽きます。主人公ジョニィ・ジョースターが観察したところによれば、アブドゥルは「馬の1.5倍にあたる800キロ超えの体重を利用して周囲を押しつぶしてゴールしようとしている」とのこと。ラクダという巨体を活かした、まさにパワー全振りの戦術ですね。細かいテクニックや遠距離操作よりも、圧倒的な物量でゴリ押していくそのスタイルには独特の迫力があります。スタンド使いらしき明確な描写はなかったものの、この豪快なファイトスタイルは後述するアヴドゥルの性格とも共鳴するものがあります。
ゼッケン番号「017」にはタロットカードとの深い関係がある
アブドゥルに割り当てられたゼッケン番号は「017」。これは一見するとただの番号に過ぎませんが、ジョジョシリーズに精通したファンにはたまらない仕掛けが込められています。タロットカードにおいて17番は「星(The Star)」を意味するんです!
「星」といえば、3部『スターダストクルセイダース』の核心をなすカードでもありますよね。承太郎のスタンド「スタープラチナ(星の白金)」もまた、星を冠した名を持っています。そして承太郎と旅をともにしたアヴドゥルと星の関係は、さらに深みを増します。アブドゥルが年3回横断するというサハラ砂漠と「星」から連想されるのは、あの名作童話『星の王子さま』です。物語の主人公が不時着した場所がほかならぬサハラ砂漠であり、3部小説版では幼少期の承太郎の愛読書として登場する作品でもあります。ゼッケン番号ひとつに、荒木飛呂彦先生のこれほど多層的な仕掛けが込められているとは、思わずうなってしまいます。
ベドウィン文化が色濃く反映されたキャラクター設定になっている
アブドゥルのプロフィールには「エジプト」「ラクダ」「サハラ流浪民」という3つのキーワードが並びます。これらはあるひとつの文化を強く示唆しています――ベドウィンです。ベドウィンとは中東・北アフリカの砂漠地帯に暮らす遊牧民族のことで、ラクダを富と移動手段の象徴として使いながら生活する人々のことです。
ベドウィンの伝統行事にはラクダレースが存在し、エジプトではシナイ半島で大会も開催されています。アブドゥルがサハラを年3回横断できる実力者であることを踏まえると、彼がこの文化圏の出身である可能性は非常に高いですよね。19世紀末のベドウィンの装いといえば、ゆったりとした服と頭部を覆うターバン状の布――まさにアブドゥルの外見そのものです。砂漠という過酷な環境で鍛え抜かれた男が、アメリカ大陸横断という未知のレースに挑んでくる。それだけでも十分ワクワクしませんか?
スティールボールランのアブドゥルは3部アヴドゥルの転生なのか

SBRを読み進めていくと、あるいは今まさにアニメで初めてアブドゥルを目にしたとき、多くのファンが同じ疑問を抱くはずです。「このキャラ、3部のアヴドゥルじゃないか…?」という直感ですよね。名前の類似、エジプト出身という共通点、さらには顔立ちや首飾りのデザインまで酷似しています。はたして、ウルムド・アブドゥルとモハメド・アヴドゥルの関係はどのようなものなのでしょうか。ここでしっかり整理しておきましょう!
「新世界線のパラレルキャラ」という公式設定の立場
結論から言えば、ウルムド・アブドゥルとモハメド・アヴドゥルは「別人」です。ただし、完全に無関係というわけでもありません。作者の荒木飛呂彦は、SBR(Part7)をPart6完結後に生まれた「新世界線」の物語として位置づけており、SBRに登場するキャラクターたちは「かつての登場人物の先祖であるか、あるいはパラレルワールドの存在」と説明しています。
つまりアブドゥルは、アヴドゥルの「転生」であり「パラレルワールドの対応キャラ」という解釈が正しいです。同一人物でも直接の子孫でもなく、新しい世界線で似た魂が似た形を持って生まれてきた存在――それがSBRにおけるキャラクター設計の根幹にある考え方です。だからこそ、アブドゥルはアヴドゥルに「似ているが同じではない」という絶妙な距離感を持っているんですね。
名前の「アヴドゥル」と「アブドゥル」表記の違いに意味はあるのか
3部のキャラクターは「モハメド・アヴドゥル」、7部のキャラクターは「ウルムド・アブドゥル」と表記されます。わずか一文字の違い――「ヴ」か「ブ」か――に意味はあるのでしょうか?
まず名前の由来について触れておくと、モハメド・アヴドゥルの元ネタはアメリカのダンサー兼歌手「ポーラ・アブドゥル(Paula Abdul)」です。「アブドゥル(Abdul)」というアラビア語由来の名前をそのまま使っているのが7部のウルムド・アブドゥルであり、3部のキャラクターは日本語表記の慣習上「アヴドゥル」とされた形なんですね。実際、3部の単行本では「アブドゥル」と書かれているコマも存在します。この表記揺れは意図的な差別化というよりも、パラレルワールドのキャラクターであることを視覚的に示すための工夫と捉えるのが自然でしょう。コアなファンたちが「ヴ男とブ男」と愛称で呼び分けているのも、なるほどうまい表現ですよね。
出身地・職業・性格における共通点と相違点
両者を比較したとき、共通点は実に多いです。エジプト出身という点、浅黒い肌と骨太な体格、そして独特の首飾りや腕輪といったアクセサリーに至るまで、視覚的な類似は一目瞭然です。さらに職業面でも、アヴドゥルが占い師として生計を立てていたのに対し、アブドゥルはラクダで過酷な砂漠を渡り歩く流浪民という、どちらも「砂漠の達人」としての共通点があります。
一方で相違点も存在します。アヴドゥルが知識・情報・戦略を武器にする参謀タイプであるのに対し、アブドゥルは800キロ超えの体重で周囲を押しつぶすという完全なパワータイプです。また性格面では、ベドウィン文化において「略奪」が生存戦略として認められている側面があることを考えると、アブドゥルにはアヴドゥルが持たなかったワイルドな一面がある可能性もあります。もちろん大切な人を守るために命を懸けるという精神は、両者に共通する魂の部分と言えるでしょう。
アブドゥルと3部アヴドゥルの外見・衣装を徹底比較

ウルムド・アブドゥルとモハメド・アヴドゥル――この2人の類似はプロフィールにとどまりません。荒木飛呂彦が描く衣装や小道具には必ず意味があり、細部を見比べていくと驚くほど共通したモチーフが散りばめられています。同時に、時代や環境の違いを反映した相違点も見て取れます。ここで視覚的な比較ポイントを整理しておきましょう!
ゴトラ・シャムシール・靴など中東文化が全身に散りばめられている
アヴドゥルの外見は独特な黒髪の逆立ちヘアと丈の長い羽織もの、そして鉄製のパンツという強烈なインパクトで知られますよね。一方アブドゥルは、頭部に「ゴトラ」と呼ばれるアラブ圏の男性が着用するターバン状の布を巻いており、砂漠の横断時に砂除けとして機能する実用的なアイテムです。上着は縞模様で、カラーコミックでは紫に着色されており、騎乗姿に合わせた短めのデザインとなっています。
武器としては長い湾曲刀を携えており、これは中東産の剣「シャムシール」に近いデザインと考えられます。3部ではアヌビス神のスタンド能力「アヌビス」も似た形の刀を持っていましたよね。また靴は先端が尖ったデザインで、インドの宮廷靴「モジャリ」やヨーロッパの「プーレーヌ」に近く、興味深いことにDIOが履いていたデザインにも似通っています。アヴドゥルが丈の長いブーツを履いているのとは対照的ですね。顔立ちや腕輪の形状は両者で非常によく似ており、同じ魂の持ち主であることを感じさせます。
首飾りのデザイン変化がリタイアの伏線になっているという説
両者のファッションの中で特に注目すべきなのが、共通して着けている首飾りです。アヴドゥルもアブドゥルも、アンク(古代エジプトの生命の十字架)、三日月、太陽に似た形など古代エジプトのシンボルをあしらった首飾りを着用しています。
ここで興味深いのが、アブドゥルの首飾りのデザインがレーススタート前とリタイア時で変化しているという点です。スタート直前のコマではアンクや丸から斜めに伸びる線、三日月・太陽状の模様など豊富なデザインが刻まれています。ところがリタイア時のコマでは、中央のアンクが逆さまに見え、他の模様は全て同じ形に変わっているんです。アンクは古代エジプトでは「生命」「生きる」を意味するヒエログリフ。それが逆さになるということは、「リタイア」すなわち「3部のような復活はなし」という意味を暗示しているのではないか――という考察がファンの間で語られています。さらに古代エジプトで月はホルスの左目を表し、その意味は「修復・復元」。その月が消えていることも、再起不能の暗示として読み取れます。荒木先生が意図したものかどうかはわかりませんが、ジョジョらしい深読みを楽しみたくなる小ネタですよね!
アヴドゥルと共に旅立ったイギーの転生キャラが近くにいる可能性
3部ファンならアヴドゥルの最期を覚えているでしょう。DIOの館でヴァニラ・アイスの奇襲からポルナレフとイギーをかばい、暗黒空間に飲み込まれて消滅した彼。その後、犬のイギーもまた命を落とし、アヴドゥルの肩に乗る形で天に昇っていく感動的なシーンが描かれました。
そんなアヴドゥルとイギーの絆を思うとき、新世界線のアブドゥルの周囲にもイギーの転生キャラがいるのではないかと考えたくなります。エジプトはイスラム教徒が約9割を占め、イスラム教では犬は「不浄の生物」とされることもあります。しかしベドウィンの場合は、番犬や牧羊犬として犬と暮らす習慣を持つ家もあるのだとか。アブドゥルがベドウィンである可能性が高いことを踏まえると、彼の傍らに忠実な犬がいたとしても不思議ではありません。新世界線でもあの2人の魂が互いに引き合っているなら、それはなんとも胸熱な話ですよね!
SBRの世界観における転生システムを理解する
アブドゥルとアヴドゥルの関係を正しく理解するためには、SBRという作品の世界観設定を把握しておく必要があります。「なぜ同じような人物が別の時代・別の世界に存在するのか」――その謎を解くカギが「新世界線」という概念です。この仕組みをわかりやすく解説していきますね!
Part6終了後の「新世界線」がSBR世界を生んだ
ジョジョの奇妙な冒険Part6『ストーンオーシャン』のラストで、主人公・徐倫たちはプッチ神父との戦いの末に宇宙を「リセット」することに成功します。その結果生まれたのが新世界線、すなわちPart7以降の世界です。荒木飛呂彦自身が「Part6終盤の出来事が影響した新世界の作品」と明言しており、1部〜6部とは完全に別の世界であると宣言されています。
舞台は1890年代のアメリカ――Part1の時代と同時代ですが、ジョースター家も、ディオも、登場する人物は全員「別人」です。しかし魂の形は似通っています。荒木先生は「過去の登場人物の先祖か、パラレルワールドの存在と考えてほしい」と語っており、ファンはこの類似キャラを「転生キャラ」と呼んでいます。アブドゥルはその転生キャラたちの一人というわけです。
アブドゥル以外にもSBRに登場する転生キャラは多数いる
実はSBRには、アブドゥル以外にも多くの転生キャラが登場します。主人公ジョニィ・ジョースターはジョナサン・ジョースターの「新世界線版」であり、ジャイロ・ツェペリは1・2部に登場したツェペリ一族の対応キャラです。さらに天才騎手ディエゴ・ブランドーはDIOの転生で、性格のいくつかの特徴が酷似しています。
脇役にも転生の痕跡は数多く仕込まれています。ドイツ人選手のF・V・シュトロハイムは2部のシュトロハイムと名前・国籍ともに一致しており、さらにはレース参加者の順位表に「タルカス」「シゲチー」という、それぞれ1部のタルカスや4部のシゲチーを思わせる名前まで登場しています。これらの転生キャラたちは旧世界線の仲間たちへのオマージュでもあり、長年のジョジョファンには「あのキャラがこんな形で!」という発見と感動をもたらす仕掛けになっています。アブドゥルの存在もまた、その壮大なドラマの一点として輝いているんですね。
スティールボールランのアブドゥルに関するよくある質問

アブドゥルについて調べる中で、多くのファンが共通して疑問に思うことがあります。ここでは代表的な3つの質問にまとめてお答えしていきます!
アブドゥルはスタンド使いではないのか?
原作の描写においては、ウルムド・アブドゥルにスタンド使いであることを示す明確なシーンは存在しません。彼の戦闘スタイルはラクダの巨体をそのまま兵器として使うパワースタイルであり、スタンド能力の発動描写がないまま退場しています。ただし、SBRにはスタンド使いである参加者が多数存在し、アブドゥルがスタンド使いである可能性を否定する描写もありません。作中の情報量が少ないため、公式には「不明」というのが正確な答えです。3部のアヴドゥルが生まれつきのスタンド使いだったことを考えると、アブドゥルも隠れたスタンドを持っている可能性は十分にあるとする考察もファンの間では存在します。
アヴドゥルとアブドゥルは3部と7部で同一人物ですか?
これが最もよくある質問で、端的に答えると「同一人物ではないが、無関係でもない」です。3部のモハメド・アヴドゥルと7部のウルムド・アブドゥルは、作中の世界設定上では完全に別の人物です。SBRはPart6完結後に生まれた「新世界線」を舞台とした物語であり、登場人物たちは旧世界線のキャラクターの転生・対応キャラという位置づけになります。荒木飛呂彦は「パラレルワールドの存在と考えてほしい」と明言しており、同一人物ではなく「似た魂を持つ別の存在」として設計されています。外見や設定の類似点は、荒木先生が意図的に施したオマージュであり伏線です。
アブドゥルのゼッケン番号「017」にはどんな意味がある?
アブドゥルのゼッケン番号「017」はタロットカードの17番、すなわち「星(The Star)」と対応しています。「星」は希望・導き・精神の輝きを象徴するカードです。3部のアヴドゥルが承太郎の旅に希望の灯を照らす存在だったことと重ね合わせると、意味深ですよね。さらに「星」とアブドゥルが横断するサハラ砂漠から連想される『星の王子さま』、そして3部小説版での承太郎との繋がりまで考えると、このゼッケン番号は荒木先生が意図的に設定した可能性が非常に高いです。一見すると地味なサポートキャラながら、こうした細部に込められた仕掛けの多さがアブドゥルをただのかませ犬以上の存在たらしめている理由のひとつではないでしょうか。
スティールボールランのアブドゥルと3部アヴドゥル完全考察まとめ
ウルムド・アブドゥルは、登場シーンこそわずかながら、これほどまでに語り甲斐のあるキャラクターはなかなかいません。エジプト出身のベドウィン・ラクダ乗りという設定、ゼッケン番号に刻まれたタロットの「星」、首飾りのデザイン変化が示す伏線、そして3部モハメド・アヴドゥルとの多層的な対応関係。荒木飛呂彦が新世界線に込めた「過去作へのリスペクトと再創造」の精神が、アブドゥルというキャラクターに凝縮されています。
アニメでアブドゥルがスクリーンに登場する際は、ぜひ3部アヴドゥルとの共鳴を意識しながら見てみてください。チョイ役のようでいて、その退場のインパクトはジョジョ史に刻まれる一幕です。「退場してなお目が離せない男」ウルムド・アブドゥルの魅力を存分に楽しみましょう!
ゼンシーア