ゼンシーア
『チェンソーマン』第一部最大の黒幕として君臨したマキマ。美しい外見の裏に隠された「支配の悪魔」としての正体と、その恐ろしすぎる能力は多くのアニメファンに衝撃を与えた。「これは命令です」の一言で相手を意のままに操り、死んでも蘇る不死身の再生能力、そして日本国民を人質に取る前代未聞の契約―。
本記事では、マキマ（支配の悪魔）の8つの主要能力を徹底解説し、作中の名場面や他の最強悪魔との比較を通じて、彼女がいかに規格外の存在だったかを明らかにする。アニメ第2期での映像化も控える今、支配の悪魔の全貌を改めて振り返ってみよう。
マキマ（支配の悪魔）とは？
チェンソーマンの世界において、最も美しく、最も恐ろしい存在として君臨するマキマ。一本の三つ編みに束ねた桜色の髪と、同心円状の不思議な瞳を持つ彼女は、主人公デンジにとって憧れの上司であり続けた。しかし、その美しい外見の下に隠された真の正体は、作品史上最も衝撃的な黒幕だったのである。
物腰柔らかで知的な印象を与えるマキマだが、時折見せる残忍さと空恐ろしさは、多くの読者に強烈な印象を残した。映画鑑賞を趣味とし、大型犬を愛する一面を見せながらも、その本性は人間を「賢く愚かで見ているだけで面白い」存在として見下していたのだ。
公安対魔特異4課のリーダー
マキマは内閣府直属のデビルハンターとして、公安対魔特異4課を統率する立場にある。一般的な公安職員とは格が違い、契約している悪魔の詳細は機密事項として扱われていた。この特別な地位こそが、後に明かされる彼女の正体への伏線だったのである。
特異4課のメンバーたちからは絶大な信頼を寄せられており、早川アキを始めとする部下たちは彼女に深い敬意を抱いていた。しかし、この信頼関係すらも、マキマの支配の能力によって構築された可能性が示唆されている。デンジが初めて公安に入った際の導入も、マキマの巧妙な計画の一部だったのだ。
内閣総理大臣との契約
マキマの不死身ともいえる再生能力の秘密は、内閣総理大臣との特殊な契約にあった。この契約により、マキマに対するあらゆる攻撃は適当な日本国民の病気や事故に変換される仕組みとなっている。つまり、マキマを攻撃することは、無関係な日本国民の命を奪うことを意味するのだ。
作中でマキマは29回もの死亡が確認されているが、その度に瞬時に復活を果たしている。これは日本国民約1億2千万人分の命を持つのと同等であり、実質的に彼女を無敵の存在にしていた。この恐ろしい契約内容は、読者に大きな衝撃を与えると同時に、マキマという存在の恐ろしさを如実に表している。
支配の悪魔としての真の正体
物語終盤で明かされたマキマの正体は、四騎士の一体である「支配の悪魔」だった。英語では「Control Devil」「Conquest Devil」「Devil of Domination」などと表記され、人類の支配に対する恐怖から生まれた概念的な悪魔である。
支配の悪魔は、戦争・飢餓・死の悪魔と並ぶ最上位の存在として位置づけられている。アメリカ合衆国大統領が「自由の国の代表として」マキマを排除しようとしたことからも、その存在がいかに世界的な脅威として認識されていたかが分かる。皮肉なことに、社会が悪辣な支配者を生まないよう努力すればするほど、支配への恐怖が高まり、マキマの力も増大していくのだ。
英語表記と作中での呼び方の違い
興味深いことに、マキマという名前自体にも深い意味が込められている。作者の藤本タツキ氏によると、「マキマ」から「キ」（木）を切り取ると「ママ」になることから名付けられた。これは、デンジが求めているのは恋愛感情ではなく母性的な愛情であることを示唆している。
英語圏では「Control Devil」「Conquest Devil」として表記されることが多く、いずれも支配・征服を意味する言葉が使われている。特に「Conquest」は四騎士の一体である「征服」を表しており、黙示録の四騎士との関連性を明確に示している。
マキマの同心円状の瞳も、悪魔である証拠の一つだった。作中では狐の悪魔や未来の悪魔も同様の目をしており、人ならざる者を表現する漫画的表現として機能していた。この細かな描写一つ一つが、後の正体判明への伏線として機能していたのである。
マキマ（支配の悪魔）の能力一覧！恐怖の8つの力を徹底解説
支配の悪魔としてのマキマの能力は、まさに恐怖そのものだった。人間を「賢く愚かで見ているだけで面白い」存在として見下す彼女の力は、作中で徐々に明かされるたびに読者を絶望の淵に叩き落とした。その圧倒的な能力体系は、単なる戦闘力ではなく、あらゆる状況を支配下に置く完璧なシステムとして機能していたのである。
銃の悪魔でさえ恐れ、アメリカ合衆国が国民の寿命1年分を代償にしてでも排除しようとした存在。それがマキマ（支配の悪魔）の真の実力だった。8つの主要能力を通じて、彼女がいかに作中最強の存在として君臨していたかを詳しく見ていこう。
格下認定した相手を意のままに操る支配能力
マキマの最も根本的な能力が、この支配能力である。「これは命令です」という言葉と共に発動されるこの力は、マキマが「自分より程度が低い」と判断した相手を完全に支配下に置く恐ろしい能力だ。
支配された相手は思考能力を完全に放棄し、マキマの意のままに行動するようになる。早川アキがマキマに好意を抱いていたのも、天使の悪魔が公安で働いていたのも、すべてこの支配能力によるものだった。最も恐ろしいのは、支配された本人にその自覚がないことである。
この能力は人間だけでなく悪魔や魔人にも有効で、マキマは天使、蜘蛛、未来、蛇、罰の悪魔など複数の強力な悪魔を同時に支配下に置いていた。支配の条件が「マキマの主観」に依存するため、極論を言えば世界中の存在を支配することも理論上可能な、恐るべき能力なのだ。
遠隔地の敵を圧殺する謎の攻撃能力
マキマの最も印象的な能力の一つが、この遠隔圧殺攻撃である。京都の標高の高い神社で終身刑以上の囚人30人を集め、敵の名前を囚人に言わせた後、マキマが手を捻るように動かすと、遠く離れた東京にいる敵が「パン！」という音と共に跡形もなく圧死するという恐ろしい技だった。
この能力の発動には特定の条件が必要で、目隠しをした囚人、標高の高い場所、そして対象の名前が分かっていることが必要だった。使用後は囚人も死亡するため、まさに人命を代償とした必殺技である。距離の制限がないため、世界中どこにいる敵でも暗殺可能な、戦略兵器レベルの攻撃能力だ。
この攻撃で、サムライソードとその仲間たちの大部分が一瞬で葬り去られた。しかも、マキマは意図的にサムライソードと沢渡を生き残らせており、すべてが彼女の計算通りだったことが後に判明する。
死んでも蘇る不死身の再生能力
マキマの恐ろしさを象徴する能力が、この不死身とも言える再生能力だった。作中で29回もの死亡が確認されているにも関わらず、その度に何事もなかったかのように復活を果たしていた。
この能力の秘密は、内閣総理大臣との特殊な契約にあった。契約により、マキマへのあらゆる攻撃は「適当な日本国民の病気や事故」に変換される仕組みとなっている。つまり、マキマを攻撃することは、無関係な日本国民の命を奪うことを意味するのだ。
この契約により、マキマは実質的に日本国民約1億2千万人分の命を持つのと同等の存在となった。新幹線で頭を撃ち抜かれても、銃の悪魔に攻撃されても、すべて日本国民の誰かが身代わりとなって死ぬため、マキマ自身は無傷で復活する。これは能力というより、国家レベルでの人質システムと言った方が正確かもしれない。
支配した悪魔の能力を使用する権限借用
マキマの戦略的な恐ろしさを示すのが、この権限借用能力である。支配下に置いた悪魔の能力を自由に使用できるため、マキマ一人でありながら複数の悪魔の力を同時に行使することが可能だった。
銃の悪魔との戦いでは、この能力が最も劇的に発揮された。体内から天使の輪が現れ、支配下の早川アキや黒瀬ユウタロウ、そして彼らが契約していた「罰の悪魔」「蛇の悪魔」「未来の悪魔」「蜘蛛の悪魔」「天使の悪魔」の能力を一斉に発動。銃の悪魔の頭上に刃物を持つ無数の身体を持つ怪物を産み落とし、わずか7秒で銃の悪魔を撤退に追い込んだ。
この能力により、マキマは事実上無制限の戦闘パターンを持つことになった。支配する悪魔が増えるほど戦闘能力も向上するため、時間が経つほど強くなる恐ろしい特性を持っていた。
小動物を通じた広範囲監視ネットワーク
マキマの情報収集能力の要となるのが、この小動物監視ネットワークである。ネズミ、カラス、カエルなどの小動物を支配下に置き、自身の目や耳の代わりとして使用していた。
この能力の恐ろしさは、レゼ編で如実に示された。デンジとレゼが二人きりで夜の学校にいた時の会話を、マキマは完璧に把握していた。「私『も』田舎のネズミが好き」というセリフは、小動物を通じて盗聴していた証拠である。また、早川家にも常に小動物が潜んでおり、デンジたちの日常会話もすべて筒抜けだった。
クァンシとその仲間の魔人が中国語で話した内容も、カラスを通じて完璧に把握していたマキマ。彼女にとって秘密の会話など存在せず、常に全知全能に近い情報を保持していたのだ。都市部では無数の小動物が存在するため、実質的に街全体が巨大な監視網と化していた。
記憶操作と洗脳による精神支配
マキマの支配は肉体だけでなく、精神にも及んでいた。記憶の改竄や暗示により、相手の認識そのものを操作する能力を持っていた。天使の悪魔の過去の記憶が改竄されていたのも、この能力によるものである。
この能力により、マキマは長期間にわたって相手を支配下に置くことができた。単純な命令による支配ではなく、相手の記憶や認識を根本から変えることで、支配されていることに気づかせない巧妙な洗脳を行っていた。
早川アキがマキマに抱いていた好意も、単なる支配命令ではなく、記憶操作による影響が大きかった可能性がある。相手が本当に自分を慕っていると錯覚させることで、より完璧な支配関係を構築していたのだ。
契約による他者の能力強制発動
マキマは契約という形式を利用して、他者の悪魔能力を強制的に発動させることも可能だった。天使の悪魔から強制的に寿命を徴収して武器を生成させたり、内閣総理大臣との契約で不死身能力を得たりと、契約を通じた能力強奪も得意としていた。
この能力の恐ろしさは、相手の同意を得ずに一方的な契約を結べることにある。支配能力と組み合わせることで、相手に不利な契約内容でも強制的に同意させることができるため、実質的に無制限の能力借用が可能だった。
契約の概念を悪用することで、本来対等であるべき悪魔との関係を一方的な支配関係に変えてしまう、まさに支配の悪魔らしい能力の使い方と言えるだろう。
未来視と超人的な身体能力
マキマの能力の中でも謎に包まれているのが、この未来視と身体能力の向上である。支配した未来の悪魔の能力を借用することで、500キロメートル先の状況を正確に把握し、銃の悪魔の動きを予測して迎撃することができた。
特に印象的だったのは、銃の悪魔との戦闘での反応速度である。銃撃を受けて死亡してから復活し、さらに500キロメートル先の銃の悪魔にカウンター攻撃を仕掛けるまで、わずか3秒という驚異的なスピードを見せた。これは単なる身体能力向上ではなく、未来視による先読みと複数悪魔の能力を同時使用した結果と考えられる。
また、マキマの特別な嗅覚も重要な能力の一つだった。「私は特別に鼻が利く」と自ら語る通り、匂いによって人物を識別し、デンジを「人でも悪魔でもない匂い」として認識していた。この嗅覚は単なる身体機能ではなく、存在の本質を見抜く超感覚的な能力だったのである。
これらの能力を組み合わせることで、マキマは戦術レベルから戦略レベルまで、あらゆる局面で圧倒的な優位性を保持していた。単体の能力だけでも強力だが、それらが有機的に連携することで、まさに「無敵」と呼ぶべき存在となっていたのだ。支配の悪魔の恐ろしさは、これらすべての能力を一人で使いこなしていた点にこそある。
数ヶ月後には『チェンソーマン』第2部でのナユタの成長や、新たな四騎士の登場により、支配の悪魔の能力体系がさらに深く掘り下げられる可能性が高い。マキマの能力を理解することは、今後の展開を予測する上でも重要な要素となるだろう。
支配の悪魔の能力にある致命的な制限と弱点
圧倒的な力を誇る支配の悪魔にも、致命的な制限と弱点が存在していた。この弱点こそが、最終的にマキマの敗北を招く要因となったのである。完璧に見える支配システムの綻びを理解することで、なぜデンジがマキマを倒すことができたのかが明確になる。
格上と認識した相手には能力が通用しない
支配の悪魔の最大の制限が、この格上認識システムである。マキマは「自分より程度が低いと思った者」のみを支配できるため、逆に言えば自分より格上と認識した相手には一切能力が通用しない。
この制限により、生身の人間としては最強クラスの戦闘能力を持つ岸辺は、マキマの支配を受けなかった。岸辺の長年の経験と実力、そして何より「頭のネジがぶっ飛んでるヤツ」という常軌を逸した精神性が、マキマに格上と認識させたのである。「人間の味方でいる内は見逃してやるよ」という岸辺の言葉は、マキマがこの制限を理解していることを示している。
興味深いのは、この判定が必ずしも実際の戦闘力だけで決まるわけではないことだ。愛情や友情といった強い感情を持つ相手は、支配が困難になる傾向がある。パワーがマキマの命令を無視してデンジを助けたのも、デンジへの友情がマキマの支配を上回ったからである。
嗅覚での認識システム
マキマの人物認識システムは、視覚ではなく嗅覚に依存していた。「私は特別に鼻が利く」という発言の通り、マキマは相手の匂いで個人を判別しており、顔や姿形はほとんど記憶していなかった。
この認識システムこそが、デンジによる逆転劇を可能にした最大の要因である。デンジはマキマが自分をチェンソーマンの匂いで認識していることを見抜き、心臓（ポチタ）を取り出してチェンソーマンと分離。匂いが変わったデンジを、マキマは認識することができなくなった。
最終決戦でマキマが「どうしてデンジくんに戻っているのかな」「不愉快です」と不満を露わにしたのも、目の前にいるのが愛するチェンソーマンではなく、興味のないデンジだと認識したからである。皮肉なことに、この認識システムがマキマ自身の敗因となった。
チェンソーマンにだけは効かない
最も致命的な弱点が、チェンソーマンに対する支配能力の無効性である。マキマはチェンソーマンを心から愛し、崇拝していたが、まさにその愛情が支配を不可能にしていた。
支配の悪魔の能力は「格下と認定した相手」にのみ有効だが、マキマにとってチェンソーマンは憧れの存在であり、決して格下などではなかった。「チェンソーマンを使ってより良い世界を作る」という目的も、実際には支配ではなく協力を求めていたのである。
この矛盾が、マキマの計画の根本的な欠陥だった。愛する相手を支配することはできず、支配できる相手を心から愛することもできない。マキマは最初から不可能な夢を追い続けていたのだ。
さらに、デンジの言葉が示すように、真の愛情は攻撃ではなく受容である。デンジはマキマを攻撃したのではなく、愛ゆえに一つになることを選んだ。この行為は内閣総理大臣との契約の対象外となり、マキマの不死身能力を回避することができた。
これらの弱点は、支配の悪魔の能力がいかに強力であっても、愛情や自由意志といった人間の本質的な部分を完全に支配することはできないことを示している。数ヶ月後にはアニメ第2期でナユタの成長と共に、支配の悪魔の新たな一面が描かれる可能性が高く、マキマの弱点を理解することで今後の展開もより深く楽しめるだろう。
マキマ vs 他の最強悪魔！支配の悪魔の能力比較
支配の悪魔としてのマキマの強さを正しく理解するためには、他の最強クラスの悪魔との比較が欠かせない。『チェンソーマン』の世界には階級制度があり、マキマがどの位置に属するかを知ることで、彼女の真の実力が見えてくる。作中で語られた情報と実戦での描写を基に、各悪魔の特徴と相対的な強さを分析してみよう。
銃の悪魔との物理攻撃力の違い
長らく作品最強の敵として描かれてきた銃の悪魔だが、マキマとの直接対決では圧倒的な力の差が明らかになった。アメリカ合衆国が国民の寿命1年分を代償にして復活させた銃の悪魔は、確かに破壊的な物理攻撃力を持っていた。
500キロメートル離れた距離から正確にマキマの眉間を撃ち抜き、周囲1000メートルの男性と1500メートルの子供の頭部に同時に弾丸を放つという、まさに戦略兵器レベルの攻撃能力を誇る。しかし、マキマの戦術的な対応の前には、この圧倒的火力も無力だった。
マキマは29度目の死亡後、瞬時に復活すると同時に複数の支配下悪魔の能力を発動。わずか7秒で銃の悪魔を撤退に追い込んだ。この結果は、純粋な攻撃力では銃の悪魔が上回っていても、戦略性と多様性でマキマが圧倒的に勝っていることを示している。銃の悪魔は一点特化型、マキマは万能型という根本的な違いがあった。
闇の悪魔との恐怖レベル格差
作中で唯一マキマを圧倒した存在が、根源的恐怖の名を持つ「闇の悪魔」である。この悪魔は「超越者」と呼ばれる最上位クラスに属し、生まれてから一度も死を経験していない特別な存在だった。
地獄での対決では、マキマの攻撃が闇の悪魔にダメージを与えたものの、闇の中では瞬時に回復され、最終的にマキマは撤退を選択した。これは、マキマが相手を格上と認識し、支配できないと判断した証拠である。闇の悪魔の「闇の中での攻撃は一切通じない」という特性と、謎の言葉で相手に風穴を開ける能力は、マキマの支配能力を無効化する数少ない力だった。
この格差は恐怖のレベルの違いに起因する。「支配」への恐怖は人類が文明を築いてから生まれたものだが、「闇」への恐怖は人類誕生以前からの根源的なものである。この根本的な恐怖レベルの差が、両者の実力差として現れているのだ。
チェンソーマンとの相性問題
マキマにとって最も特殊な相手がチェンソーマンである。戦闘力の数値的な比較では、マキマの方が圧倒的に有利に見える。実際、最終決戦でマキマはチェンソーマンを圧倒し、心臓を引き抜くまで追い詰めた。
しかし、チェンソーマンには他の悪魔にはない特殊能力がある。「食べた悪魔を概念ごと完全消滅させる」という、悪魔にとって真の死を意味する恐ろしい力だ。過去にナチスや第二次世界大戦、エイズなど多くの概念をこの世から消し去っており、悪魔たちから「地獄のヒーロー」として恐れられている。
マキマの敗北は戦闘力の差ではなく、相性の問題だった。支配の悪魔である彼女がチェンソーマンを愛していたこと、そして愛する相手を支配することの矛盾が、最終的な敗因となった。能力的には勝っていても、感情的な盲点を突かれたのである。
四騎士の中での支配の悪魔の位置づけ
マキマ（支配の悪魔）は、ヨハネの黙示録の四騎士をモチーフとした最強格の悪魔グループの一員である。この四騎士は「支配（征服）」「戦争」「飢餓」「死」の四体で構成され、いずれもチェンソーマンの宿敵として位置づけられている。
四騎士は超越者に次ぐ第二位の階級に属し、他の悪魔の能力を取り込める可能性が高いという共通点を持つ。マキマの場合は支配能力により、戦争の悪魔（ヨル）は武器化能力により、それぞれ戦力を増強できる仕組みとなっている。
興味深いのは、四騎士の中でも力関係に差があることだ。第二部で「死の悪魔」は、ナユタから「最も恐れられる名を持った超超最強の悪魔」と評されており、四騎士の長女として他の三体を上回る力を持つとされている。マキマは第一の騎士（征服）として四騎士の中では上位に位置するが、死の悪魔には及ばないとされる。
また、四騎士には独特な制約もある。支配の悪魔は格上を支配できず、戦争の悪魔は武器化対象への罪悪感が強いほど性能が上がるなど、それぞれに能力行使の条件が設定されている。これは超越者のような絶対的な力とは異なる、戦略性重視の能力体系と言える。
数ヶ月後に予想されるアニメ第2期では、これらの比較関係がより明確に描かれることになるだろう。特に四騎士同士の力関係や、死の悪魔の能力が明かされることで、マキマの相対的な位置づけもより鮮明になると期待される。支配の悪魔の恐ろしさは、単純な戦闘力ではなく、戦略性と持続性にあることが、他の悪魔との比較を通じて浮き彫りになるのである。
マキマの支配の悪魔の能力に関するよくある質問
マキマの能力について、アニメファンから特によく寄せられる質問とその答えをまとめた。これらの疑問を解決することで、支配の悪魔の複雑な能力体系がより理解しやすくなるだろう。
マキマはなぜデンジを支配できなかったのか？
多くのファンが疑問に思うのが、なぜマキマがデンジを完全に支配できなかったのかという点である。これには複数の理由が絡んでいる。
まず、マキマの支配能力は「自分より程度が低いと思った相手」にのみ有効という制限がある。しかし、マキマはデンジ自身ではなく、彼の中にいるチェンソーマンに興味を持っていた。チェンソーマンはマキマが心から愛し、憧れる存在であり、決して格下だとは思っていなかった。
さらに、最終的にデンジがマキマを倒せたのは、彼女の認識システムの盲点を突いたからである。マキマは嗅覚で人を識別しており、チェンソーマンの匂いでデンジを認識していた。デンジが心臓（ポチタ）を取り出すことで匂いが変わり、マキマは目の前にいるのがデンジだと認識できなくなったのだ。
総理大臣との契約内容はどのようなものか？
マキマの不死身能力の源である内閣総理大臣との契約は、作中で最も恐ろしい契約の一つである。契約内容は「マキマへの攻撃を適当な日本国民の病気や事故に変換する」というものだった。
この契約により、マキマを攻撃することは無関係な日本国民の命を奪うことを意味する。実質的に日本国民約1億2千万人分の命を持つのと同等であり、マキマを完全に倒すためには日本国民を全員殺さなければならないという、恐ろしい仕組みだった。
総理大臣がこのような契約を結んだ理由は明確には語られていないが、銃の悪魔などの脅威に対する抑止力として、マキマの力が必要だったと推測される。マキマ自身も支配能力でこの契約を有利に進めた可能性が高い。
ナユタはマキマと同じ能力を持っているのか？
第一部の最後に登場したナユタは、マキマが倒された後に転生した新しい支配の悪魔である。基本的な能力は同じだが、重要な違いがいくつか存在する。
まず、ナユタはマキマとしての記憶を一切持っていない。これは悪魔の転生システムの一般的な特徴だが、マキマの場合は例外的に記憶を保持していたため、ナユタとは大きく異なる。
また、ナユタの成長環境も重要な要素である。マキマが日本政府に育てられ、支配者として成長したのに対し、ナユタはデンジという対等な相手と暮らしている。この環境の違いが、同じ支配の悪魔でありながら異なる人格形成をもたらすと期待されている。
第二部では、ナユタが第二のマキマになるのか、それとも全く違う道を歩むのかが大きな注目点となっている。
マキマの能力は他の作品と比べてどの程度強いのか？
マキマの支配能力を他のアニメ・漫画作品と比較すると、その恐ろしさが際立つ。一般的な洗脳や精神操作系の能力と比べて、マキマの支配は以下の点で特に強力である。
まず、支配の範囲が人間だけでなく悪魔や魔人にも及ぶこと。さらに、支配した相手の契約悪魔まで使用できるため、実質的に無制限の能力を持つことになる。記憶操作も可能で、支配されていることを気づかせないという巧妙さも持つ。
また、内閣総理大臣との契約による不死身能力と組み合わせることで、持続性においても他の追随を許さない。一時的な強さではなく、長期間にわたって影響力を行使し続けることができる。
ただし、格上認識という制限や、愛情による免疫など、絶対的ではない弱点も存在する。これらのバランスが、マキマというキャラクターの魅力を高めているのである。
【チェンソーマン】マキマ（支配の悪魔）の能力まとめ
マキマ（支配の悪魔）は、『チェンソーマン』第一部を代表する最強クラスのキャラクターである。その能力は多岐にわたり、戦闘力だけでなく戦略性においても作中随一の存在だった。
支配の悪魔としての核となる能力は、格下と認定した相手を意のままに操る支配能力である。この力により、人間・悪魔・魔人を問わず、幅広い相手を配下に収めることができた。さらに、支配した悪魔の能力を自由に使用できるため、実質的に無制限の戦闘パターンを持つことになる。
遠隔攻撃、不死身の再生能力、小動物を通じた監視ネットワーク、記憶操作など、多彩な能力を駆使したマキマの戦術は、読者に強烈な印象を残した。特に、内閣総理大臣との契約による不死身能力は、日本国民を人質に取るという前代未聞の設定として話題となった。
しかし、そんなマキマにも弱点は存在した。格上と認識した相手には能力が通用せず、嗅覚による認識システムの盲点を突かれることで、最終的にデンジに敗北することとなった。愛する相手を支配できないという、能力の根本的な矛盾が彼女の敗因だったのである。
マキマの死後、支配の悪魔はナユタとして転生し、第二部での活躍が期待されている。数ヶ月後には予想されるアニメ第2期で、マキマの能力がどのように映像化されるかも大きな注目点だ。支配の悪魔の恐ろしくも魅力的な能力は、『チェンソーマン』という作品の魅力を語る上で欠かせない要素となっている。
